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目次
劣悪人間
私は劣悪な人間だ
最悪ってほどではない
劣悪人間ここにあり
劣悪、劣悪
ずっとそう言い聞かせていたら
なんだか劣悪人間じゃないような気がして
そもそも劣悪ってなんだっけってなってきて
私は言い聞かせるのをやめた
心の中で言うだけ
(私は劣悪人間だ)
(ほんとうに)
こぼしたお茶っ葉を片付けない
ゴミ出ししたあとのゴミ箱に新しい袋を設置しない
殺した虫をそのままにしておく
挨拶を返さない
ムダ毛を一本だけ伸ばしている
駅のホームで並ばない
他人の名前を覚えない
生きる意味を探さない
あの日の嫌味を忘れない
さっき言われたことをもう忘れている
人のことを好きでいるふりをしている
都合の悪いことは忘れている
自分の指先を無意味に動かしている
仲のいい人と距離をとる
本心を出すことなく言葉はすべて嘘ばかり
そんな自分のことを好きでいる
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