短詩10本・6 夏の匂いは隠されていた

2階から飛び降りる脚の痛みを思い出したい


2階から夏が落ちてくる


四つ辻の角 公園側で抱き合う男女 五日前にも見かけたな


夜中にセミたち偽物の太陽に群がり泣く


君がいない信号の長さ


振動を失うほどのイヤホン音


味のついた夢を見ていた

昨日と今日と いや昨日


君がほどいた髪の毛の中に夏の匂いは隠されていた


通り雨に名を呼ばれ僕は傘を閉じた


半分になったベッドの中で煙草の跡を数えている

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