暗昼行路

黒いアスファルトが緑色になっていた

正確に言えば苔が生えたようで

雨が降っていたからかアスファルトは少し鈍く光っていた

ようやく私は顔を上げる

ばさばさと風に揺られ工事現場を覆うブルーシートがはためいていた

アスファルトに反射したブルーシートが緑に見えていたのだ


緑色が眼球を冒す

眼科の検査 赤と緑どちらが濃いか

あれは近視か遠視かを調べているらしい

だから私は遠視なのだ

何も見えない昼間の暗闇の中

緑色だけが網膜に焼き付き

青信号は緑信号だから見えるとしても

赤信号をは肌に当たる車の風でしか感じることはできず

手探り目探り行く道は暗昼行路あんちゅうこうろ

苔むす闇の筋なき道

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