喪失・炎

炎の中で燃えていたらしい

手元に骨があるからそうとわかるのだが


コンビニでもらった割り箸で歯をつまみ上げ

もちろん割り箸は割った状態

歯をつまみ上げ

虫歯なのか焼け跡なのか一箇所黒かったけど

綺麗だなと思った

見覚えがあった

それは確かに君の歯だった

はにかむ君の口をこじ開けたあのとき

君は笑った 怒った 泣いた 悩んだ

気がする

続いて耳元が思い起こされた

毛束から漏れた髪の毛がかかる君の耳元

耳の骨はありますかと私は訊いた


悲しみは

妬みは

怒りは

誹りは

笑顔は

炎と共に燃えてしまって

今はもう穏やかな

何もない腹の中に

君の耳骨がかつんと転がり落ちた

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