発癌性快楽物質

溺れ溺れていた息もできず快楽物質の湖の中

光射す岩の影麓かげふもとからまた一筋の快楽の波

からだの内から湧き立つ黒色こくしょくの変異

おれは突然変異を起こしてしまった

快楽の快楽の波に波に揉まれおれはおれは癌に染まった

染まった染まった染まった

死の世界には快楽がないんだろうか それがほんとうに恐ろしい

だがもうおれにとってのこれは呼吸なのだ

湖の中でしか生きられぬ

けれどももし……

死の瞬間こそが最も快楽だとしたらどうだ?

なれば死こそが癌なのだ

死こそがすべての長なのだ

おれは未来観測の快楽に身を震わせた……

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