第13話 ラーメン屋さんに入る二人
雄ちゃんの笑う声が心地よかった。
優しくて落ち着いていて少し低い声が気持ちよく私の胸に広がって。
なんだかちょっとだけ……。
ちょっとだけだよ……好きな声だなと思った。
雄ちゃんに
見かけは昔ながらの町のラーメン屋さんという外観だった。
ところが――。
お店に一歩入った途端にびっくりした。
今まで行ったことがあるどこのラーメン屋さんとも違って、店内はめちゃくちゃお洒落だったのだ。
内装はカフェかバーのような落ち着いた心地よい雰囲気を漂わせていた。
白を基調とした店内には観葉植物や可愛らしいペンダントライトが幾つも天井から吊るされている。
テーブルも椅子も色が鮮やかで北欧家具だろうか、とてもラーメン屋さんとは思えなかった。
とにかく私の知ってるラーメン屋さんじゃない。
「なっなにここ? すごいお洒落だね」
「ふふんっ。すごいだろ? 何年か前にリニューアルしたらさ。お洒落なラーメン屋に生まれ変わったんだよな」
雄ちゃんは得意げだった。
(前の彼女とも来たのかな?)
なぜかそんなことが私の心のなかによぎってしまった。
なんで、だろう?
私は前に立つ雄ちゃんの広い背中を見つめていた。
抱きつきたくなるような頼もしい背中だなと思ってしまう私は、恋に落ちたのだろうか?
雄ちゃんの優しさに包まれることが、あったかくてあったかくて。
私の心は甘い砂糖瓶のなかに落ちてしまう。
雄ちゃんが私のそばにいるだけでホッとする。
太陽みたいな朗らかな人。
うん、好きだ。
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