第7話 俺もって?
「ねえ今さ。『俺も人恋しい』って言ってなかった?」
私は雄ちゃんの言葉に引っかかりを感じていた。
「今日俺ん家に泊まるかどうかの返事じゃなくて、まずそこ〜?」
雄ちゃんは困ったような顔をした。
これは何かを隠している。
ぜった〜いに隠してるな、雄ちゃん。
……というかまさかっ!
私は昨日の夜にやはりとんでもない事を口走ったり、しでかしたのではないでしょうか?
付き合いが長いから微妙な私への気遣いが分かるもん。
直感が警告を発している。
もしかして聞かない方が良かった?
知らない方がいい事をわざわざ自分から聞いてしまったのではないでしょうか。
雄ちゃんは頭をかいていた。
申し訳なさそうな顔をして。
「あ〜。知りたい?」
「――えっ?」
こうなりゃヤケだ。
勢いが大事だ。真実を知ろう!
「うん」
「……あのなあ。七海は昨日の夜はさ、延々と泣きながらくだを巻いて俺に抱きついて来たんだよな」
なにそれ、私は雄ちゃんに抱きついちゃったの?
もうこの時点でめっちゃ恥ずかし〜い!
「それから七海が泣きながら『あ〜あ、私は人恋しいんだ』だの『大切にしてくれる誠実でイケメンな彼氏が早く欲しいの』だの、世の中人生不公平とかあげくに酔っぱらいの演説が始まってさ」
まっマジっすか?!
私は恥ずかしくて恥ずかしくて。
顔から火が出そうになりながら雄ちゃんの話を聞いていた。
「でさ七海はずっと『私は男運がない。男を見る目がない』とか熱く語りだして。いやなに、俺は止めたんだが。七海が歴代の彼氏の名前を一人ずつ読み上げては出会いと別れを聞かされて」
ぎゃー! 私は逃げ出したくなった。
穴があったら入りたいとはこのことだ。
「それから――」
「怖い。それ以上聞けないぃっ!」
私が自分の耳を両方抑えると、雄ちゃんがその手を外しにかかってくる。
両手の手首を握られて、またもや私の胸はドキンドキンと高鳴る。
今日は雄ちゃんと……近い。
近すぎるよ。
「まあここまで聞いたんだから聞けや。俺も黙ってらんないから言っちゃうけどさ。オチ的なとこだから」
「オチ?」
じいっと雄ちゃんの瞳を見つめるとなんだか雄ちゃんは複雑そうな瞳で返してきた。
ゴクリと私は生唾を飲んだ。
「実は俺からキスしちゃった」
やっぱり私たちは……。
キスしたんか〜い!!
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