第8話 うるさかったから
キスしてたんだ。
なんてこった。
やっぱりかあ。
「
雄ちゃんは照れたようなバツが悪い様な顔をしていた。
「雄ちゃんから本当に私にキスしたの?」
「まあ……」
なんか歯切れが悪い言いかただよね。
「あのさあ……、私からキスを迫ってたのに、雄ちゃんは私に気を使って優しい嘘をついたのとかではなくて?」
「いや。だって七海の元カレ演説がうるさかったから。黙らすために勢いでキスして、七海の口を
えっ? うるさいから。
それでキスをしたって?
「七海の元カレたちの話を俺が聞きたいと思うか?」
雄ちゃんは怒ったような顔をした。拗ねているのかヤキモチなのかな。
ふくれっ面をしていた。
「大事な女友達が傷ついてきた話を聞くだけしか出来なくて俺は自分にイラッとした」
雄ちゃんがそんな風に言ってくれて。
ちょっと感動してる私がいる。
雄ちゃんは私のことを友達として大事に思ってくれてるんだ。
雄ちゃんはニヤリと笑った。
「ちなみに一回じゃないからな」
「はっ?」
雄ちゃん、小さな声で何かゴニョゴニョ言ってる。
えっ? なに? もう一回言ってほしい。
「一回だけじゃないんだ」
「そうです。俺たちがしたキスは一回だけではありません。さて問題です。七海と俺がキスを交わしたのは何回でしょうか?」
雄ちゃんはそう言って大笑いした。
ずっと笑ってる
なんだ。もしかしてからかい半分だったのかな。
「なにっ。何なのよー!」
私は軽く雄ちゃんの肩を叩いた。
「あーっおかしい。七海をからかうと楽しいなあ」
もう雄ちゃんの言ってる事のどこが冗談でどこが本当か分からないなあ。
あとでもう一回雄ちゃんに聞いてみるか。
私はもうよく分からなくなって。
まあいいかとその時は思ってた。
雄ちゃんは「支度できた? 飯行こうぜ」といつもの態度で私にニッコリと笑った。
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