第4話 大爆笑する男友達
雄ちゃんはドカッとベッドに座るとグイッと私に顔を近づけてきた。
「今日の七海は百面相だな。しっかし迎えに行ったのが俺で感謝して欲しいね」
雄ちゃんはニカアッと笑っていた。
私の頭を優しく撫で撫でしてくる。
「そういう時に来てくれるの、雄ちゃんしかいないじゃん」
「そういう時ってさ。良いけどよ。まあ……なんもなかったよ。俺たち」
雄ちゃんは私の顔を覗きこんでゲラゲラ笑った。
腹を抱えながら大爆笑していた。
「かっ、からかってたのっ? 雄ちゃん!」
「
ずっと雄ちゃんは笑っていた。
――だけど。
急に真顔になって私の手から珈琲カップをそっと取ると、ベッドの近くの小さなテーブルに置いた。
静かになる部屋。
ドキッとするぐらい真顔な雄ちゃん。
「お前さ、警戒心がなさすぎ。他の男の前じゃもっと用心しなくちゃな。なあ分かった?
雄ちゃんは、ちょっと怒っていた。
ごめん。
私のことを心配してくれてるんだ。
「あと、さ。昨日……な。俺と七海はキスぐらいはしてたかもなあ」
「えっ?」
雄ちゃんが私の肩を素早く掴んで顔を近づけてきた。
雄ちゃんは唇を私の唇に近づけた。
キスしようとしてるのか寸前まで迫ってきて止まる。
ゆ、雄ちゃん!?
ドキドキ……ドキッン。
鼓動が早くなる。胸の奥がキュンッとしてる。
「……俺たちキスしたぞ。覚えてないのか? 七海の方から俺にキスしてきたくせに」
はっ? ええっ?!
雄ちゃんの顔が近い。
瞳が大きくてキラキラしてる。
私の顔が火照る。
「だからってなんもないよ。俺たちがキスしたってもはやただの挨拶だろ? ……ハハハッ。馬鹿だなあ」
「えっ、ねえ、やっぱりキスしたの? してないの?」
「しちゃったかもね。七海からせがんできたような……、きてないような」
雄ちゃんはまたゲラゲラ大声で笑っていた。
「まさか、またからかったの〜?」
「ハハハッ」
「もぉっ……」
ねえ、雄ちゃん。どっちなの?
困惑しちゃう。
からかわれてるだけ、……なのかな〜、私。
私は、豪快に笑いながらキッチンに向かう雄ちゃんの大きな背中を見ていた。
――雄ちゃん。
今しようとしてた雄ちゃんとのキスの意味を考えながら。
人差し指で自分の唇に触れてみた。
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