第11話2月10日/第二王子を何とかしよう・2


 私のバカ王子への対応が、どんどん雑になっていった。


 それでも周囲、王様も王妃様も宰相閣下や執事長、その他大勢も みんな知らない振りをしている。


 なんで? 不敬罪にならないの? 皆さん了解済みって事なんだね。

 良いの? これで。


 彼は帝王学を やっと修了したけれど、だめじゃん。このレベルじゃ使えないよ。なのに、ついに私はコンプリートしちゃたよ。

 何をって? 帝王学を。

 あはは……。


 バカ王子がするべき仕事が なぜか私に回って来るようになってしまった。


 内容は陛下(王様)の補助なんだけど、当初から、彼のやった書類仕事を、私がチェックして回してたんだよね。

 だってさ、あまりにヒドくてね、誤字・脱字・表現ミス等々、とってもじゃないけれど そのまま出せるシロモノじゃなかったのよ。


 陛下もだけど、皆さん面倒になってしまったらしくて、直接 私に持って来るようになってしまったのですよ、ハイ。


 良いのかこれで?

 私は ただの婚約者で、まだ王族じゃないのよ。これって機密書類に分類されるものじゃんないの?


 私、クーデタを起こしちゃうよ。……イヤ イヤ、冗談だけどね。

 何だか、あっさり成功してしまいそうで怖いじゃない。


 私達は結婚した。


 おい、こら待てよ!

 現国王陛下が引退してしまった。それは無いでしょう。こんなバカ(新国王)、押し付けないで!


 ■■■


 玉座に王の姿はない。

 彼は、私の後ろに 隠れるようにして控えている。まぁ、座ってはいるけれどね。ご想像の通り、玉座には私が座っていまーす。


 「宰相、このような雑件は私を通さずに決裁するように言ってるでしょう。貴方を、というより貴方の奥様を私は信頼しているの。

 司法長官も同じよ、財務官も、書記長も奥様に相談してね」

 うん。宰相の奥様って元第二王子の婚約者、その他もみんな 私の親友達。

 この国、その内 主要閣僚が全員女性になってしまうかも知れないよ。


 後年の歴史家は綴る。この国が最も繁栄し、安定していたのは『女王による支配』の時期であった、と。


 あはは……。これって何だろう? ハッピー・エンドかな。


 まあ、良しとしておこうよ。


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