第18話5月20日/冒険者に


 街の北側にある『冒険者ギルド』で能力の鑑定をしてもらった。


 立派に、いや かなりの高レベルで活動できるスキルを、全員が保有している事が分かった。HP、MPのレベルも十分だ。


 ギルドで行われた鑑定には『キャラクタ再設定の部屋』の通過儀礼があった。

 そこに案内され、一人ひとるが その施設に入って行く。出口は、……ここからは見えない。


 私の順番が来て、おそる おそる中に入ると、吹き出しが表示されていた。

 「この部屋は完成版にも同様のモノが設置されます。

 ここではキャラクタの完成度を判定し、それに応じRPG仕様に改変されたスキル、魔法、ステータスが授与されます」

 「では、少々お待ち下さい」


 「仕様改変開始」

 メッセージが表示された次の瞬間、光が私を包み込んだ。

 思わず目を閉じたものの、眩しさは軽減さらる事なく、身体中に突き刺さるようにさえ感じた。

 私は耐え切れずうずくまってしまった。悲鳴をあげていたかも知れない。

 永遠に続くかと思えるような十数秒が過ぎた。


 気が付くと部屋の外にいた。

 そして そこには冒険者、服装などの装備から見て間違いないと思える者達が同級生の人数分いた。


 その中の 若い男性が私に手を差し伸べて来た。

 私は、ありがたく その手を取って立ち上がろうとした。


 あれ? 私の手って こんなに小さくてキレイだったっけ。

 あ、身体も軽い。

 私も冒険者の装備をしているようだ。


 サラリと肩にかかり 胸の前に落ちてきた この淡いブロンドの長い髪は、私のモノなのだろうな。

 目の前の男性は、高等部の頃の彼の顔に良く似ていた。その頃よりも もう少し年上で、しっかりした体格をしているようだけれど。


 「だいじょうぶ?」

 その青年が、彼の声で話しかけて来た。


 吹き出しが出ていた。


 「仕様変更を完了致しました。

 このアバタは そのキャラクタ名でハードディスクに保存され、いつでも使用出来るようになりました。

 新規にゲームを開始した場合にも削除される事なく保存されますので、このキャラクタで長く楽しむ事が出来ます。

 新規ゲームにも 全く影響致しません。

 さあ、どうぞ冒険者として この世界を楽しんでください」


 終わった、の?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る