第4話1月3日/乙女ゲーム開始・1


 兄貴が このゲームを買って来たのには驚いた。こんなに高価たかいのに、よく買う気になったものだ。

 まあ良い。入・出力端子を1組 使わせてもらえるように交渉した。アドバイス料だと思ってほしいってね、友人の受け売りだったのだけれど。


 さて、私は『ゲーム選択』で迷うことなく乙女ゲームを選んだ。

 男・女の選択が出た。女の子っと。

 アバタを造って……、オーケイ。


 キャラクタ選択画面が出た。

 「メインキャラクタを選びますか、サポートキャラクタを選びますか」

 どういう意味だろう。まあ良い、メインキャラクタを選んだ。


 吹き出しで何か説明があったが、面倒なので読まずに そのまま先に進んだ。

 へぇ、攻略男子の婚約者ライバルキャラクタの選択かあ。あれ? ヒロインは?


 はい。元に戻して吹き出しを確認しました。


 うん、手抜きをしては いけなかったね。


 「ライバルキャラクタの場合、その幼児期から育成すると ほぼ全てのステータスが好みのままに変更できます。

 成長して 婚約相手が気に入らない場合には、自らのステータス値(これは 完成版では表示されません。本作品では表示された上、その推移を確認しながらゲームを進める事が出来ます)によっては、婚約解消も可能です。

 ヒロインを選択した場合も同様ですが、一部を除き、12歳時点のステータス及び必須スキルの取得によって攻略対象を決める必要があります。

 本作品では 攻略対象以外も、全キャラクタのステータスを確認しながらの進行も可能です。

 どちらの場合でも12歳までに概略の攻略対象を決めるのが良いでしょう」


 ヒロインは別枠になっていたんだ。どうしよう、ヒロインを選ぼうか。ん? ヒロインのところに別の吹き出しがある。


 「ヒロインは『乙女ゲーム』だけのキャラクタです。RPGに進まれる場合は、他のキャラクタを選択してください」


 当然だろうね。ヒロインの関連キャラクタは、妹だけか。


 「本作品には、ヒロインと同列キャラクタとして『幼なじみ』が存在します。ヒロインと全く同じスキルとステータスと持っていますが、このキャラクタはRPGに進む事が出来ます。当然ですが完成版には存在しません」


 チュートリアルだけのキャラか、すごいオマケだね。


 とりあえずゲームを始めてみよう。最初ということで、ヒロインを選択。おっと、また吹き出しがある。


 「ヒロインのステータスを平均値に保って成長させると、基本の攻略対象『第二王子』に到達致します。

 この場合、他の攻略対象に変更するのは一部を除き かなり困難な作業とないますので ご承知おきください。

 攻略対象を第二王子ではないキャラクタとする場合は、それぞれ固有のステータスとスキルを必要とし、それらを一定レベルに保持する必要があります。

 以上の事情により、本作品では『逆ハーレム』は、不可能です。

 なお、ヒロインには『魅了』には及びませんが『好かれやすい』スキルがあらかじめ設定されています。

 これは有利にも不利にも働くものですので ご注意ください」


 ふうん、『好かれやすい』か。どんな感じなんだろう、ピンとこないな。

 まあ、良いか。とりあえす12歳までのステータスによっては、途中で攻略対象のチェンジも可能ということね。


 他のキャラを攻略するのに必要なスキルとステータスの要求値も表示出来るのか。みんなチュートリアルだけのオマケだけどね。


 ひょっとして『完成版』って何も表示しないのかな。


 あれ? 攻略男子キャラの基本的な性格や趣向、特技、顔写真もあるんだ。これもオマケ処置か。しっかし……第二王子、性格悪いなぁ。


 さて、まず攻略対象の絞り込みをしましょう。

 チョロな第二王子の必要ステータスは、……いくら何でも低過ぎでしょう。 婚約者ライバルキャラの邪魔は どうなっているのだろうか。イジメられるのは嫌だな。


 次は……、え、『攻略対象未定・次期王妃』って何? 要求ステータスは、少し頑張れば、いや いや簡単に出来そうで逆に怖い。『王妃』スキルが必須で追加されている。まぁ当然だろうけどね。


 なぜか第一王子は別にある。なぜ? 王妃と王太子(第一王子)の后とは別人なの?


 何だか意味深いみしんで、いやだな この関係。

 さて 第一王子の必要ステータスは、……この値は無理でしょう。無理 無理。絶対に不可能だわ。


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