第9話1月25日/ヒロインを幸せにしよう!


 兄貴が乙女ゲームをクリアした。しかしRPGには進めなかったようだ。

 でも、少しばかり くやしい。


 RPGも気にはなるけれど、以前 可哀想な事をしたヒロインを幸せにするのを優先しよう。


 まず、攻略対象だけど。やはり第二王子を仮の目的にしよう。あくまで『仮』。定番だからね。


 どうしよう『王妃教育』受講しようか。

 でも、こうなったら第二王子のステータスが問題になってくる。断言出来る、彼には国王の資質がない。


 今のところ第二王子とは あまり深く関わっていない。他の攻略キャラと大差ない程度に留めている。

 つまり必須スキルを取得していないのだ。


 王妃教育を修了した。このまま第二王子を攻略したら、第一王子を追い出す事になる。兄貴の失敗を見たところ間違いなさそうだから、これは避けたい。


 あれ? 鏡に映るヒロインわたしの外観が変わって来ている。何だか第二王子の婚約者の雰囲気に似て来たかも知れない。

 あっ、ひょっとして『王妃教育』の副産物かな。ステータスやスキルも大きく変わっている。

 うーん。このステータス値、どこかで見たような気がするな。


 攻略対象から第二王子を外す事にした。


 自然な流れで第一王子に移行する(『好かれやすい』絶好調)。

 そう、あのステータス値は第一王子の攻略値に合っていたのよね。これって きっと王妃教育の賜物たまものだ。


 第二王子が。これが分岐点に違いない。

 彼を慰撫フォローしたら、きっと王位継承権の取得競争になる。これは何としても回避けなければならない。


 第二王子を放置する事にした。


 そう、ヒロインを幸せにするための、尊い犠牲だ。


 第一王子と急接近したら、どうも第二王子の視線が怪しい。あぁ、あれだ。あのイベント、危険だな。


 彼(第一王子)に ちょっとした警告アドバイスを与えておく事にした。「第二王子の様子が変だから注意してね」とね。


 第一王子は、第二王子の婚約者を攻略しなかった。

 よし!


 やはり、予想通り第一王子暗殺未遂事件が起こった。当然だけど失敗した。


 第一王子、もう王太子決定だね。彼との親密度が更に上がる。ステータス、スキル共問題ない。

 しかし、今度はヒロインわたしの身分が問題になって来た。 「男爵令嬢だから、あまりにも差があり過ぎる」なんて、色々言う貴族がいるのさ。

 でも、それも簡単に解決した。

 王子(第二王子は処分されたので第一王子しかいない)の要望で、まあ 断れる貴族ヒトは いないよね。

 私は ある候爵の養女になった、事になった。書類上だけだけど。


 私は王太子の妃になった。

 そして、国王となった彼を支えて国を発展させた。


 の王は、夫としても、父親としても素晴らしい人物で、ヒロインは2男、2女に恵まれ幸せに暮らしました、とさ。


 やったね。ハッピー・エンドだ。


 乙女ゲームクリア。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る