第14話3月15日/家庭教師


 まあ良い。とにかく家庭教師だ。

 えっと、家庭教師の『個有爵位』? 吹き出しに説明があった。


 読み物が多いな。まあ、チュートリアルだから仕方ないのだろうが。


 「この世界では家格の爵位より個人の能力が高く評価されます。

 そして、それを爵位で表します。

 中等部卒業で予爵(男爵相当)、高等部卒業:子爵、大学卒業:伯爵、大学院卒業+学士位取得:候爵、大学院在籍+研究者+複数の学士位取得者:公爵、となります。

 これを個有爵位と言い、各爵位は幼年部、中等部は学部共通。高等部以上は一般学部によります。

 下位爵位の者は上位爵位の者に対し拒否権はありません。例えば、公爵は王に準じた権限を持っています。

 なお、公的な教育者(公認家庭教師も含む)となれるのは、候爵と公爵のみです。

 候爵の教育資格は高等部卒業まで。公爵の教育資格は大学入学まで。となります。

 これは必要取得単位の免除のみであり、卒業資格は高等部、大学等で資格試験を受けて取得する必要があります」


 すごいな。

 さて、通常の家庭教師か公認家庭教師の選択。


 やっぱり『公認』だな。


 候爵とするか公爵か? そんなの決まってる公爵だ! 「大は小を兼ねる」ってな。


 このキャラには名前を付けられるのか。


 家庭教師には個人用データカードがある。

 個有爵位のアイテムだ。


 チュートリアルではステータスとして表示されているが、完成版にはステータス自体が表示されない。これが その代替品なのだろう。


 え? 家庭教師だけが持つアイテムだって? じゃ、他のキャラには 個人データを表示するアイテムは無い、のか。


 ま、まぁ良い。データを確認しよう。

 名前、性別、年齢、個有爵位、HP値、MP値、使用可能な魔法、取得済スキル……等々、個人情報満載じゃないか。

 ちなみに魔法(一般魔法)とスキルは最高値だ。さすが公爵。


 名前と個有爵位以外は隠せるようになっている。これを見せて就職活動するという事か、と言うか、相手は断れないんだよな。

 何せ王様に匹敵する権限持ちだ。


 さて、ゲームを開始しよう。


 ■■■


 なぜ、……どうしてオレはここにいる。


 ここは大学の研究室。オレは教え子を高等部卒業に導いた。大学に入学させた。そのまま研究課程に入れ、今に到っている。


 公認家庭教師である公爵オレは、学び・知る事の楽しさ、未知への好奇心と探究心を生徒に植え込み、分析力や洞察力のスキルを高め、客観的な観察者として、更には研究者としてのステータスを その時点での最高域にまで向上させた。

 多分、候爵も同じだろう。彼らはオレの助手になった。


 公認家庭教師の目的は『研究者の育成』にあったのだ。


 なぜだ?

 オレ達は冒険者になるはずではなかったのか。大学に行く必要など なかったのではないか、それなのに それなのに……。


 これは、スルー・エンドとしておいてほしい。バッド・エンドではない、と思いたい。


 なるべく多くのブログに投稿しておこう。後続のゲーマ達が、オレと同じ過ちを犯さないように、しっかりと。


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