2日目の2
こうして自転車すら借りられない僕は結局徒歩で史跡巡りを再開した。
スピード感はないものの、これはこれで楽しめる。歩いては休み、歩いては休みを繰り返しながら寺社を見て回った。どこも由緒があって趣深い。新しい知見に出会うのはどんな形でも楽しいものである。
一通り寺社を制覇したのち、今度は城跡や武家屋敷が残るエリアへ移動する。こういうことをしていると一句詠みたくなるのは国語科教育の賜物だろう。
ところで読者の方々は『奥の細道』と『おくのほそ道』、どちらで習っただろうか。今でこそ正式名称は平仮名表記とされているが、過去の教材を見る限りかつては漢字表記も一般に使用されていた(※4)。
年代によって覚えるものが違う、というのは教育指導要領が定期的に改訂される以上仕方のないことではある。それに書き方や読み方が変わるのはその分野の学問がより精確に研究され発展している証左なのだ。そういった過程がきちんと児童生徒に伝わってさえいれば、本来歓迎されるべき変化なのだと思う。
話を戻すと、この地には史跡の他にとある俳人の句を記した石碑が点在している。それがなかなか面白い。その俳人は今で言うところの水ソムリエ(※5)で、この地域の湧き水をべた褒めして句まで詠んでいたようだ。
名高いその湧水を筆者も口にしてみた。水ソムリエではないので味とかはよく分からないが、とりあえず冷たかったので体力は回復した(※6)。
空いたペットボトルに湧水を汲み入れ、急勾配の山道を登って山城跡を撮影し、ついでに野良猫も撮影し、そして休憩のために立ち寄った喫茶店でテレビ局の取材を受けた。
どうしてこうなったのか――次回に続く。
※4 詳しくはウィキペディア等を参照されたし。
※5 適当に書いたつもりが調べたら本当にあった。アクアソムリエという。
※6 湧水のある所がセーブ地点のゲームって別に珍しくはない気がする。
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