後日談 旅行中はスマホから離れろ
タイトル通りである。
いくら乗車中は暇だからといってスマホを見るな。Twitterを開くな。ゲームのデイリーを回収するな。
そうやってどれだけの景色を見逃してきたのか。
と、やや強めの語気で自己糾弾をしてみたものの、暇なときは暇だったのだからしょうがない。程度は弁えているつもりだったが、あらためてツイート数を見直すと平時とあまり頻度が変わらない気がする。
ふと思うことがある。
ひとり旅でなければ、呟く回数は減るのだろうか?
筆者の周りはコロナの時代を経て身を固めた者が少なくない。人と人とを隔絶することが日常になって久しいが、彼らはそうなる前から築き上げてきた信頼関係をさらに育み、家庭を持つようになった。
また世情は徐々に旅行を再開するほうへと動き出している。自分がこうして旅をしようと思ったのもそんな空気が一因だ。
旅先で幾度となくすれ違ったカップルたち――僕は彼らを見て、何を思ったか?
……何て思ったんだっけ? 呟かなかったから忘れた。
筆者はTwitterを備忘録として使っている節がある。その時々で思ったことを日時込みで記すのに都合がいいのだ。逆にそこに書き込めないようなことは以後も取り扱う予定がないといえる。
この旅においても、ツイートは控えて書きたいことは整理してからこのエッセイ(?)に書けばいいと思っていた。
だがそうやってもったいぶるほど、大した経験はしていないのであった。
そう考えると、ひとり旅でなければ呟きが減るという仮説は正しいのだろう。
誰と行くか……という話はさておいて、同行者に話せばそれが疑似的な備忘録になることを知っている。思い出とは共有するものなのだから。
やや飛躍になってしまうが、身を固めた友人たちも同じように共有することを求めたのではないだろうか。人は寂しさを埋めるために他人を利用する。
そんな人の在り方を筆者は嫌っているが、同時に羨ましくもあった。助け合うことは利用し合うこと、なんて捻じれた認識をせずに済むのなら、一生そんな認識とは無縁のままでいてほしいと願う。
幸い、筆者にも友人は居る。彼らと過ごした昨年末の忘年会は楽しかった。
それを利用し合ったと表現するほど、さすがにそこまで自分は盲目ではない。
今回の旅は自宅に帰るという形で終結を迎えた。
何も目指すつもりのない旅だったが、青春十八きっぷの利用回数という明確なリミットがあり、辿り着いた先で骨を埋める覚悟もなかった僕は家に帰ることを選んだ。
というかWHITE ALBUM2(筆者が年末に購入した恋愛アドベンチャーゲーム)をプレイしなけりゃ死んでも死にきれん。
裏を返せばそれを購入しなければどうなっていたのだろうかという話だ。
生きる理由。それは朝風呂であり、恋愛アドベンチャーゲームであり。
くだらない日々の呟きと、それを眺める誰かの存在なのかもしれない。
だいたいそんな感じで、今回の紀行もおしまいおしまい。
シーユーアゲイン、ネクストトラベル。
ポンコツ紀行 吉野諦一 @teiiti
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