概要
「オムレツを作るためにはまず卵を割らなくてはならない。」
当たり前のことですけど、その当たり前が一番しんどく難しい時があります。
そういう時の為のエッセイです。たぶん、嘘です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!物語が根付くとはこういうことを言うんだ。
物語の一節や作家の発言をここまで引っ張り出せるだろうか。
私には出来ません。
何度も文字をなぞり、その意味について考証し、感じ入った人にしか、数十万、数百万字の中から「引用」なんてものは出来ないと思うのです。
そして、展開される郷倉さんの考え、感想、面白い発想。
本と人とが絡まるとはこういうことを言うのだと、実感しました。
本から文がさらさらと這い出して手先に絡んでいくように、文字が体から離れ落ちた場所から芽が出るように、本が人を作っていく様子が想像できるようです。
何だかもっと本を読みたくなるんです。
不思議なんですが、思ってしまいます。
物語を読む。そのことを感じるエッセイです。 - ★★★ Excellent!!!読書を愛するということ
文章に対する愛情がしみじみと感じられるエッセイ。
半端ない読書量(僕の百倍以上は読んでる)と、それに裏付けされた知識と感想を作者様の独特な切り口で綴られています。読んでいると「ああ、僕ももっとたくさん本を読まなきゃな」って気にさせられる。説教くさくなく、押し付けがましくなく、自然とそう思わせてくれるエッセイはそう無い。それだけ、郷倉さんが文章や小説、物語を愛しているのだと感じました。本当にすごい。
文章を書く時はひとり。読む時も一人。表現はたった一人の自分との闘いなんだ、っていう、そうした、物を書く人にとっての覚悟のようなものの存在を教えてもらった気がします。ありがとうございました。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!オムレツにつられて、迷い込んだ先は図書館でした。
タイトルに惹かれて読み始めたこのエッセイ。第1話目はナイーブな青年が小説家になるべく、まず卵を割りますと宣言しています。
誰しも何かをしなくては、
何かを始めたい!
と思うことってありますよね。
けれど躊躇してしまう。
でも、まずは卵を割らなくては
なにも始まらない。
そこにすごく共感しました。
そして、そこから作者さんのストーリーが始まるかと思いきや、
そこは本の知識も兼ね備えた図書館だったのです。
しかも、書評から村上春樹は勿論、
マンガまで揃っています!!
個人的に読んでいる本やマンガが沢山あったので、私はよく通うようになりました。
その図書館にて、
作者さんが語る言葉も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「旅の報酬は旅の終わりの宝ではなく、旅そのものなのだ」
ジョブズの言葉です。正確にはちょっと違うかもしれませんが、おおまかこんなことを言ってたと思います。この言葉を聞いた時、ジョブズのことを別に尊敬もしていないし、好きでもありませんが、うまいことを言うなあと感心しました。
郷倉さんの小説家への旅も、小説家になることで至福になるのではなく、夢を抱いて走り続けることが最高の喜びなのだと思います。そして小説家への旅が終わればまたすぐに次の旅に出るでしょう。よりおもしろい小説、人の心を揺さぶる小説、あるいは単純にベストセラーを狙うとか。
願いをかなえるもっとも簡単な方法はハードルを下げることです。人としてのこだわりや矜持を捨てればたいていのことは達成…続きを読む