第2話
それから書かれていた文面を読むに、ここは常にそばにあった並行世界の一つ、今まで様々な分岐点で選択してこなかった方の世界、つまりifの世界である事がわかった。
コンビニの店長はうちの近所に出店を計画しなかったから店はなく、俺は店長やバイト仲間とも知り合わない。
元の世界では俺と両親は日本で一緒に暮らしているが、この世界の父親は海外転勤を承諾し母親は父について行き、俺は一人残る選択をしているらしいから親も傍にはいない。高校のクラスメイトや先生達は、皆この高校に来ることを選択しなかったりそれ以前の選択でこの高校に来る縁がなくなったりで、やはりいない。子供の頃からの友人達、知り合い等も同じような理由でいない。
うまくできているな。
冷蔵庫からポカリを出し、飲みながら片手で携帯を操作する。登録したはずの友人達や家族の連絡先が全て消えている。履歴も跡形もない。昨日までは確かに学校の友人達や昔からの親友とラインをしていたのに。母親から下校時に牛乳を買ってくるよう頼まれた時の着信履歴もない。
これで月曜日に学校に行って確認すればすべてが分かる。そこで本当に俺の今まで知っている人達が一人もいなければ__俺はゲームをするしかない。
そこで再びパソコン画面を見た。何度読んでも意味が分からないが、それをしないと帰れないのであればやるしかない。
元の世界に戻る方法は一つ。架空の世界で始まる恋愛ゲームに参加し、自分を本当に好きな相手を選ぶこと。
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