BLダウト!

浅野新

プロローグ

自宅で一人で過ごす事も慣れてきた。

朝起きて、誰もいない食卓で一人朝食を取り、時間になれば一応「行ってきます」を言って出ていく。


自転車に乗って最寄り駅まで行き、電車に乗って3つ目の駅で降りる。そこから10分ほど歩けば、見た目は俺が知っているのものと瓜二つの高校が見えて来る。


「おはよー」

「はよー」

親しげに俺に声をかけてくる、俺が全く知らないクラスメイトにこちらも愛想よく返事をして校門をくぐる。


今までと同じルートで今までと同じ学校に通っているように見えるが、ここには俺が知っている人は誰もいない。クラスメイトも、先生も。それだけではなく、近所の人も、小さい時からの友達から家族まで、この世界にもたくさん人はいるのに、俺が知っている人は誰もいない。


ここは俺の戦場。

一瞬目を瞑って、すう、と息を吸った。

上等じゃないか。昔から負けず嫌いなんだ。絶対にクリアしてやる。


眼を開いてにやりと笑う。

「さぁーて、俺を好きな奴は誰なんだろうな?」

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