第24話
「ありがとう。まさかこんなに早く会えるだなんて」
昼間の強い光が燦燦と差し込むファミリーレストランの窓際席で新堂優ははにかんだ笑みを浮かべた。
表情は相変わらず硬いが良く見れば両耳が赤い。こんないかにも仕事できます風の人でも緊張するんだなと亮太は思った。
亮太が食事の件を了承するメールを送ると新堂は和洋中様々なタイプの候補のレストラン名を返信してきたが、名前で検索するとやけに洒落た高そうな内装の店ばかり(実際メニューが載っている店はやはり高かった)出てきた為、亮太はあっさり断った。じゃあと第二希望として送られたレストランもみな似たり寄ったりですぐさま却下した。
「迷惑をかけたから」と引き下がらない新堂に、キレないかなと思いつつ生真面目そうなタイプにははっきり言った方がいいだろうと
「緊張するし疲れるから。ファミレスだったら良いです。それ以外になるならこの話はなかった事に」とかなり攻めたメッセージを打つと、新堂は怒るどころか
「君の年代が好む場所が分からずすまない」と平謝りし、すぐに了承の返事が届いた。
そうして二人は今、明るく騒がしい日曜日のファミレスにいる。どこかのブランドだろう、しっかりとした生地で襟のデザインが洒落ている黒色のポロシャツとアイロンがかけられた皺のないチノパンツ姿で正面に座っている新堂は場の雰囲気に慣れず少し緊張した面持ちだが、亮太はほっとしていた。良く知らない人と話すにはこれぐらい周りが騒がしい方がちょうど良い。もし気まずくなったらドリンクバーに一時退避できるのも。
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