イタドリ 2

 しがんで食べるしか知らなかったイタドリが、実は普通に料理に使える美味しい食材だと教えてくれたのは、子どもたちがイタドリジュースを飲ませた大黒さん。

 なるほど、最初から美味しい食材だと知っていたから、飲んでくれたのね。納得。



 毎月一回開かれるそのお寺の子育てサロンでは、ありがたいことにいつも昼食を用意してくださる。しかもバイキング式で多彩な里山料理が並ぶ。ある日、その中に見慣れない食材があった。

 若緑色というのかな、松の若葉のような明るく浅い黄緑色をしていて、細長い茎の部分ような感じ。食べるとシャクッと食感がよい。

 それがイタドリだと聞いて心底驚いた。生の時の酸味が全く消えている! 早速家でも作ってみた。


「うわ! なにこれ。ホンマにイタドリ?」

「美味しいやん!」

「スッパイボウやのに酸っぱくない~」


 勝手にスッパイボウと名前をつけていたのに、その酸味のなさに子どもたちも仰天した。


「いっぱい採ってきて~!」


 私がとても気に入っただけでなく、子どもたちにも人気の食材になった。


 ただし美味しいのはやっぱり春先の簡単にポッキリ折れるものだ。夏になるとスジっぽくなって食べられない。……ジュースを作ったのは夏だったけどね。まぁ、あれはあれで夏でも美味しく飲めましたが。


 アク抜きは、皮を剥いたのを2~3分茹でて一晩水にさらすだけ。ただ、ここで気をつけないといけないのが茹ですぎ。シャキッとした食感がなくならないようにするには、色が変わるのを目安にするといい。かじってみて酸味が残っていたら、水を入れかえてもうしばらくさらす。

 塩漬けすれば長期保存も可能だ。たっぷりの塩をまぶして重石をし、出てきた水分は捨てて保存する。使うときに塩抜きする。


 ゴマ油で炒め、酒・醤油・みりんで味付けして煮物にしたり、サラダや酢の物、汁の具、天ぷらとなんにでもできます。個人的には、にんにくと鷹の爪でペペロンチーノ風にするのが一番好きです。



 イタドリの若葉を揉んで傷口に貼ると、血が止まって痛みが取れるそうで、痛みを取る、から転じて「イタドリ」と呼ばれるようになったそうです。

 日本全国どこにでも生えていて、スカンポ、タシッポ、ゴンパチ等々いろんな呼び方をされています。


 肝臓の働きを助け身体のデトックス効果があり、利尿作用、便秘や膀胱炎の改善、月経不順などに効果あり。


 道端で見かけたなら、ぜひ一度食べてみてくださいね。

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6人姉弟 里山を食べる 楠秋生 @yunikon

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