ハマダイコンの花と実
「ハマダイコンの花が咲きだしたね。」
「え~。あれ、いやや。辛いもん」
「採ってもぼくは食べんからな」
「花見に行くだけやったら、行ってもええで」
「あ、覚えてる! あそこ面白いから行こ!」
みんな好き放題に言う。
4月下旬になると、湖岸や河川敷のあちらこちらに白い花が咲く。菜の花を白くしたような感じで、所々にピンクや紫の花が混じっている可愛らしい花、それがハマダイコンだ。
湖岸には群生地があって、琵琶湖を背に咲き乱れる風景はとても美しいので、毎年写真を撮りに行く。子どもたちが一緒に行って喜ぶのは、そのすぐ脇に登りやすくて面白い形をした木があるからだ。
ハマダイコンはその名の通りダイコンの仲間なので、本来は食べるのは根っこの部分なんだけど、花も食べられる。
可愛らしい花を和え物にしたり、塩漬けにしておにぎりに飾ると華やかになる。でも野菜の大根より野性味が強くピリリと辛いので子ども向きではない。
他にはごま和え、味噌汁の具、つゆにつけて一晩おいたりして食べられるけど、子どもたちがあんまり食べないので少量だけにしている。
5月になると、実ができてくる。初めてのときは私が採ってきてたので、子どもたちは何の実か知らない。塩で湯がいて出してみた時の反応は。
「これは何の豆でしょうか?」
「ぷくぷくや」
「なんかわからん」
「食べてみて」
「食べてもわからん~」
3つ4つお団子がぷっくりと連なったような形で、キヌサヤのような明るい黄緑色の豆。
「この前採ってきて、食べたやつの実なんだけどな」
「えー? 何食べたっけ?」
誰も当てられない。
生で食べるとハマダイコン独特の苦味ですぐにわかるんだけど、塩茹ですると苦さが抜けて
ぽりぽりと美味しく食べられるようになる。
塩ゆでのままおつまみにしてもいいし、マヨネーズで食べたり、塩コショウしてもいい。中々美味しいものだ。実が小さいと苦味が残ったりするので、ぷっくりとお団子状になっているものがオススメだ。
栄養成分は、カルシウム、ビタミンA、ビタミンC、カリウム。しっかり栄養もとれるのは嬉しい。
ちなみに野菜の大根が野生化したと思われていたが実はもともと野生のものだったということが最近になってわかったとか。
種は水に浮くそうで、海岸沿いから川を遡って上流に来たという説があるようだけど、湖岸のは……流石に自然にではないかな? 誰かが運んだのかなぁ?
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