むかご

 秋になって山々の葉が少しずつ色づき始める頃、木の枝に絡まるハートの形をした葉っぱのつるに、むかごがたくさんできてくる。

 むっちりとした食感と独特の味わい。秋になると食べたくなる食材だ。


「壊れた傘持ってきて~!」

「むかご採りに行くん?」


 秋晴れの爽やかな休日の朝、私が声をかけると子どもたちもすぐにピンとくるようだ。壊れた傘を手に袋を3つ4つポケットに突っ込んで出発する。


 親指の先くらいの大きさのから、小指の爪くらいの小さなもの。じゃがいものようなでこぼこのいびつな形のそれは、葉の下に隠れていて前から見ているだけでは中々見つからない。つるごとめくるようにして裏から見た方がいい。


「あった~!」

「こっちもいっぱいある!」

「傘準備して~」

 

 藪の中に入っていってむかごを確認した子どもたちから声があがる。傘を開いて渡すと、逆さにして持ち蔓を揺すった。

 バラバラと音をたててむかごが降ってくる。ある程度落としてから、それでも残っているむかごを収穫する。

 そんな方法を知らなかったときは、手で一つ一つ採っていたので、つまんだ振動で上の方から降ってきて、たくさん下へ落としてしまっていた。落ちてしまったのは下草に紛れてもうどこへいったかわからない。山ほどあるから、かまわないといえばそれまでだけど、採っているとやっぱりもったいなく感じてしまう。


「待って待って! 重過ぎ~!」


 傘の中に枯れ葉がいっぱいたまっている。

 そう。この方法は採りもらしが少ないけれど、余分なものまで傘に入ってしまうから、選別が必要なのだ。


「大きい葉っぱだけどけて、あとは帰ってから分けよう」

「うん! 次、行こう!」


 おおざっぱに分別して、スーパーの袋にむかごを入れると、次の場所へ移動する。他の山菜もそうだけど、毎年同じ場所にできるのを子どもたちもよく知っている。

 山を一回りすると、かなりの量が採れる。


「今日はむかごご飯にしよっか」

「揚げたのがいい!」

 

 素揚げにして塩をまぶすといいおやつになる。つまみにもいい。

 次女はよく、一人で採ってきては、洗って濡れたままのをレンジでチンして、バターで炒めておやつにしていた。


 味噌汁の具にしてもいいし、塩ゆでしたり、炒めたり。甘辛く煮てもいい。



 山のうなぎともいわれる本体の山芋と同じ成分なので、強精作用がある。

 新陳代謝や細胞の増殖機能を促進。老化防止や肌の若さを保つのにも有効。常食する事で基礎体力が増すそうですよ。

 季節ものだし、常食するほどないですけどね。血糖値上昇を抑制したり、コレステロール値を下げる効果もあるとか。


 割とどこにでもあって、間違える毒性のものも特にないので、一度さがしてみてくださいね。



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