はこべら

 春の七草の一つなので、名前を知っている人は多いと思うけど、実はわりとその辺に普通に生えている。

 あまりにも普通に雑草と同じように生えているので、これまた子どもたちには全く名前を覚えてもらえない。


「はこべら採ってきて」

「何それ?」

「ほら、勝手口出たところの、三つ葉の近くにたくさん生えてる白い小さい花が咲く……」

「小鳥にあげてたやつ?」

「そうそう」


 年少さんの頃に通っていた園で飼っていた十姉妹。お世話当番が回ってくると、菜っ葉を持っていくことになっていたので、白菜やほうれん草にプラスアルファでいつもはこべらも持っていっていたのだ。もう何年も前のことなのに、しっかり覚えている。名前は覚えないのにねぇ。完全に鳥のエサとしてインプットされてしまっている。

 だけどそろそろ名前を覚えてあげてほしいなぁ。


「はこべら、美味しいね!」

「はこべらのチャーハン作ったよ」

「はこべらのごま和えしよっか」


 と今年は名前を連発してみた。これできっと覚えるだろう。



 はこべらはとっても便利で、あくがあんまりないので簡単に食べらるのが嬉しい。

 無造作に採ってきてじゃぶじゃぶ洗った後、刻んで塩をふってしばらく置くと、美味しいご飯のおともになる。ちょんと上にのせてもいいし、混ぜてしまっても美味しい。チャーハンにしてもいい。



 天ぷら、味噌汁の具、ごま和え。

 ごま油で炒めても美味しい。ごま、ちりめんじゃこに砂糖と醤油で味つけ。

 玉子焼、オムレツ、お焼きみたいに混ぜこんで焼くのもあり。パスタにも使えます。




 単独で生えているのより、わさわさと繁っているところの方が柔らかいですよ。


 中国では薬草として使われていたそうで、利尿作用、止血作用、鎮痛作用、歯槽膿漏の予防といろいろ効能があります。

 昔はすりつぶして塩を加えて歯みがき粉にしてたそうですよ。

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