ヤブニンジン

 4月上旬、市内の河川敷に白い小花が咲き乱れる。レースフラワーにちょっと似てるかな。派手な花でもなく、まぁ見た目雑草なので、意識していない人は気づかないかもしれない。


 その名の通りなんとなく人参の葉っぱのような形。匂いもそんな感じ。でも人参葉ほどきつい味でなく、もう少しマイルドで食べやすい。


「ねぇ、ヤブニンジン採ってきて!」

「え~。遠いやん」

「めんどくさーい」


 自転車で15分くらいのところに群生しているので、それだけで頼むとめんどくさがられる。それにちょっと苦いからかな、料理によっては嫌いな子もいる。でも、


「ぼく、あんまり好きじゃない~」


 と言いながらも結局はみんなで採りにいってくれる。連れだって出掛けていき、かごにいっぱい採ってくる。摘み菜は楽しいから、ついついたくさん採ってしまうのね。

 

「採りに行くの遠いから根っこごと採ってきた!」

 

 数年前次女が家の裏に植えたのがついたけど、あんまり増えないのでやっぱり春には河川敷まで採りに行く。




 塩水でさっと湯がいて、水に一晩さらす。太いところもオーケーで、チヂミ風に焼いたり、細かく刻んでごま油で炒めてふりかけにしたりします。ミンチと炒めてもご飯のおともになりますよ。

 お浸しも美味しいんだけど、これは子ども受けが悪い。人参臭が一番きついからかな。鰹節やツナと和えたり、食べるラー油と和えたりすると食べやすくなります。白菜、人参、きゅうり、錦糸卵でゴマ味噌和えなんかにしてもオッケー。

 もちろん天ぷらも美味しいです。




 よく似ている植物にシャク(ヤマニンジン)というのがあるようですが、この地域では見たことがありません。こちらも同様に食べられるそうです。

 ヤブニンジンより大柄で、5月下旬から6月上旬に花が咲きます。5枚の花弁がみんな同一なのがヤブニンジン、1枚だけ大きいのがシャクであるとか、実のつきかたが違うとかで区別できるそうですが、どちらも食べられるのでそんなに気にしなくてもいいかもしれません。

 ヤブジラミも似ていますが、実の形が丸くてひっつきむしのような感じです。食べれないことはないらしい。


 気をつけないといけないのは、似たような葉っぱをした有毒のムラサキケマンとドクニンジン。

 ムラサキケマンは、その名の通り花が紫色。

ドクニンジンは、花期が少し遅くて7月。折るとイヤな匂いがして茎に赤か紫のぶちか斑があるようです。

 

 初めてのときは人に教えてもらうといいですね。

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