俳句のようなもの

作者 青丹よしお

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目次

完結済 全292話

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  1. 春の雨湯のごとたぎちけぶりけり
  2. 路地裏は枝垂桜のはだれかな
  3. 死ぬる日は開いてあれな桃の花
  4. 朧月或緑の龍ひそむ
  5. 逝春をしづかにわらふ人は誰
  6. 公園の丘よこぎるやほととぎす
  7. 常盤木はいづれと問へば夏の声
  8. 意思なれや風立ち網戸波打たす
  9. 腥きもの埋もれけり雪の中
  10. 行人を一日の友の花見かな
  11. 自動車やあわただしくも月の客
  12. 花茨苦しき道も敢へて行く
  13. 短夜や踊明かして星一つ
  14. さびしかろ雪降る池に舞ひおりて
  15. 湯煙を立てて鮮血ほとばしる
  16. 飛行機の落つる日ありや蝉時雨
  17. 俳聖の跡伝へよや田植歌
  18. 朧夜や画を盗まるる美術館
  19. 刀閃のしてはらはらと桜かな
  20. 死する風あらば生まるる風あらん
  21. 秋の蚊の太つたを打つ躊躇ふや
  22. 閑古鳥其は唐土の士なりしか
  23. 逝夏や身に負ふ傷を爪の痕
  24. さるすべり花のあはれはその名前
  25. 山の上に神あり海に鯨あり
  26. 誰をかも痴人にせん女郎花
  27. 行く水の流れや絶ゆる春の川
  28. 目眩く夏は穂麦の朱きより
  29. 朝の落蝉夕の風に動きけり
  30. 銀杏家のぎんあん坊と人は呼べ
  31. 七年の闇立消えて蝉時雨
  32. ここに来て人恋しさや三十三才
  33. 月の夜や洗濯物の乾く音
  34. 満を持して一足先に紅葉哉
  35. 秋物の服や美人を隠しけり
  36. 名月や黄金に優る銀も
  37. 素直さは古酒の辺に忘れけん
  38. 春の山古事記の民も遊ぶらん
  39. 鵯や花を団子と為す心
  40. 月下逍遥置処無き露の身は
  41. 女郎花打靡きけり我の方
  42. 人の世は長からずやは朧月
  43. 振向いて見返る猫や月の下
  44. 子の刻や月に守られて水浴びん
  45. 後の月序でと許り見上げゝり
  46. 暗き家に鬱々とせり薬喰ひ
  47. へうへうと世を渡りけり北の風
  48. 梓弓春も矢のごと過ぎにけり
  49. 鵯に菓子の家溶けん花の雨
  50. 凍星や塵は無けども目に涙
  51. もみづるや饂飩に七味唐辛子
  52. 冒険の日々有らしめよ春の虹
  53. 猫小鳥来よ倶にせん日向ぼこ
  54. 空しさや千万弗の北颪
  55. 猫はさぞ後の世かけてひなたぼこ
  56. 猫も恋す況んや人においてをや
  57. 蛸焼に寒さを凌ぐ涙哉
  58. あなかしこ蚯蚓の跡を御目汚し
  59. 冬の陽や清らに舞へる綿埃
  60. 悴む手労る夜や星の声
  61. 玉川や誰が斧落ちて暮の春
  62. 煤掃けば身の下闇に積もる哉
  63. 逝春や岸を離るゝ鴨の声
  64. 唐猫や惰眠貪る花の中
  65. 根雪して隣の池の青きこと
  66. 薮入や頼みもせぬを人の親
  67. ぶらんこや来る人有れば帰る人
  68. 飛石を伝歩くやけふの月
  69. 彼我の間に通じて寒し龝の風
  70. いざゝらば鬼の居ぬ間に鰒喰はん
  71. 街は昏れて足下寒き暗渠哉
  72. 山茶花や洗濯にゆく雨の中
  73. 呼合ふや霜々の聲星の聲
  74. むつとして外に出づれば寒哉
  75. 飛行機のとゞろと鳴るや雪の上
  76. 寝心や電車に揺られ春を待つ
  77. 大雪や仏の大慈隠るほど
  78. 春風や東を西と聞きながす
  79. 一春を寝過さばやな雲の下
  80. 潮浪轟寄すや春の河
  81. 青狸辛くも化けて社会人
  82. 春めくや馥郁として帋の屑
  83. 物言はで去りゆく人や春の雨
  84. 眠たさを空に浮かべて春の雲
  85. 静かさや春の夢見る枕元
  86. 恋猫や醫の匙の投げ加減
  87. 春めくやこゝろの箍の弛む音
  88. 焼色や春の眠りを覚ましたる
  89. 花園にかはいゝあの子尋ねばや
  90. 終るべき命なりしを春の夢
  91. 青春の一幕爆ぜて遠花火
  92. 俳諧は薬籠中の雲の峰
  93. 清水の舞台消去る朧哉
  94. 春雨や紺のコヲトを濡らしゆく
  95. ゆく夏や王者は膝を屈しけり
  96. 腹黒き女過るや花薔薇
  97. のどかさに虻の飛込む和室哉
  98. 梅が散り桜が散るや山笑ふ
  99. 春深し仔犬隠るゝ草の陰
  100. 一寸の虫にもかくて繭の玉
  101. 春はなほ曙杉のにほひかな
  102. つばくらめ翔るや牡丹散らんとす
  103. 青嵐美人の睫かすめけり
  104. 秘置きて深く蔵せる牡丹哉
  105. 躑躅して咲埋めけり川の空
  106. 若葉よりしたゝる月の雫かな
  107. 憎まるゝ身はながらへて更衣
  108. 先生と呼ばれてみたし更衣
  109. 目を喰つて魂抜くや桜鯛
  110. 桜花散るや西行く人の上
  111. 銀漢や曙杉に落ちかゝる
  112. 星屑になる鳩あらん若葉風
  113. 古き日の夢見心や雑煮腹
  114. 医者の娘の病気がちなる若葉かな
  115. 信号にかゝりて風の若葉かな
  116. 向日葵やマウンド暑き砂埃
  117. わが辱もこの虫干に命かな
  118. 若葉風美人のなみだかはくらん
  119. 退屈な男笑ふや青嵐
  120. 晴れかゝる雨に若葉の光かな
  121. 蝙蝠に月紫の夜更哉
  122. 負ぶはれて見た夢もあれ風車
  123. 夏めくや海の香を吐く蜆汁
  124. 千本の虹くぐりゆくつばめかな
  125. 紫陽花やいづれはあれど黒き傘
  126. 五月闇しのびいりけりむねのうち
  127. 涎して枕ぬらすや春の夢
  128. さみだれや盥をこぼす大男
  129. あぢさゐにせめてもいこへ道祖神
  130. 遠花火美人の頬や紅潮す
  131. あぢさゐやおとなの猫を隠すほど
  132. 忠犬を寒からしめて青嵐
  133. なゐふりてさつきの晴間戻りけり
  134. 落雷や頭の螺子のひとつ飛ぶ
  135. 痩せぎすの身を横たふるすゞみ哉
  136. 蜘蛛の囲のわが家は知らず何世帯
  137. 蜜豆や甘味の女王名乗りでる
  138. 白壁の赤きに立つや雲の峰
  139. 人の波抜けて命の納涼せん
  140. 短夜や人魚かほだす水の上
  141. 球場やいつかの夏を春の草
  142. 万緑や銅像朽つる池の中
  143. 蛙の声愈々高し雲の峰
  144. がゞんぼを逃がす手つきや都風
  145. 廃れたるバス停見れば夏の花
  146. 挨拶もそこそこに行く夏野かな
  147. ハンカチも薄き桜や花の雨
  148. 日傘女盛りを逃さじと
  149. 隣との距離喜ばん閑古鳥
  150. 風薫るとなりはをみなゝりけらし
  151. 先生と呼ぶ声消えて青嵐
  152. 詩の神も見ずや浮世の夏ごろも
  153. 我死すと聞くこがらしの噂かな
  154. 空梅雨や予言者出づる辻の上
  155. 涼しさに横断歩道渡りけり
  156. 浅ましさ翅の折れて飛ばぬ蝿
  157. 声優の卵も茹だる暑さかな
  158. 短夜やぬりかべ立てる枕元
  159. 麗しの名前聞かせよ草の花
  160. 漫画家の心得顔や夏の空
  161. 白ゆりの香に更け足らぬ短夜かな
  162. 桜桃忌その後忌日なくもがな
  163. 朝寒のふるさと見たし鳩の声
  164. 秋蝉や高校野球果てんとす
  165. 逝く夏や届けられざる懸想文
  166. 地には花天には星の秋来る
  167. をりがみを折る顔くらし五月闇
  168. 鶸の音の転がる空やそぞろ寒
  169. 月かけて香たちのぼる夜ふけかな
  170. 月や知るAB型の裏のなさ
  171. 音もなく蛾の翅ぬらす秋の雨
  172. むささびや月のおもてに影走る
  173. 褌よりしたたる水や草のはな
  174. 星空をささへてたてる枯木かな
  175. たれうゑし株とも見えず曼珠沙華
  176. 夜の星枯木にはなを咲かせけり
  177. むかし誰棲みにし家ぞしのぶ草
  178. けふの日の暑さ偲ばん秋灯
  179. 春光や鸚哥のにほひ思はるる
  180. 弱りゆく身に瞬くや冬の星
  181. 美人とは口の附きたる花ならん
  182. 明月や地にあるときは鳥の糞
  183. 梅活けて唐猫かはん冬ごもり
  184. 室咲きの梅見はやさん雪ぐもり
  185. 吹く風は西か東か小六月
  186. 秋の情木々の梢に上りけり
  187. 花ちるや名もなき蝶の片羽舞ふ
  188. 闘鶏や固唾のみこむ水の音
  189. 寒からん火の気も見えぬ庵の主
  190. 名月や少女にまさる美少年
  191. 紅葉ちるや寝るこのそばを通るとき
  192. ふくらますコートの裾や女風
  193. ハンカチをのぞかす胸や色男
  194. 踏みつぶす靴のかかとや冬の虹
  195. 年寄れば奇跡もまたず年の暮
  196. 烏黒くいちやうもみぢの黄をうばふ
  197. のどかさに猫も鳴かざる昼間かな
  198. いざ祝へ枯木も山のにぎやかし
  199. 秋灯し遠き家路をつづきけり
  200. 人心のとかく冷えこむ寒さかな
  201. 一城の主と思へど寒さかな
  202. 霜の声睡れぬ夜の夜伽かな
  203. 柿なるや薬師の顔の青むころ
  204. 俤やちらほらとたつ雪のなか
  205. 紫苑咲いて風むらさきに見ゆるかな
  206. 雲低れて息微かなり山眠る
  207. 灰皿に吸殻つもる夜長かな
  208. 美しきねこのよこぎる聖夜かな
  209. 美少年たりし日もあり老の春
  210. 月影にくぢらの歌や通ふらん
  211. ひたき鳥それ来鳴かずや暖取らん
  212. 楽せよと神も言ふらん寝正月
  213. 春風や鼻を抜けたるわさびの香
  214. 一本の紅梅植ふる土塀かな
  215. 借物の星座冴えゆく夜ふけかな
  216. 緊張のとけて泣き出す氷かな
  217. 花筏うかぶや月の舟もなし
  218. かる鴨のいろいろ連るるこどもかな
  219. 月光ややや濃紺のそらを裂く
  220. 春の風そよぐややはき前の髪
  221. 春風や風車に対す騎士ひとり
  222. 春雨や床屋へ向かふ道すがら
  223. ふところに懐炉しのばす花見かな
  224. 春雨の雲とよもして泣く児かな
  225. 春雨やほのかにくもる花の顔
  226. 生きてまたかのつちふまん花のころ
  227. 蛇ならばいくたびもぬけきたりけん
  228. 三度鳴いてからす飛び去るさくらかな
  229. 春情をいささか得たり雲のわた
  230. はるさめやおもきまぶたのとぢごころ
  231. はるさめや浅瀬にしろきさぎぬるる
  232. 杖とめて鶯宿梅をながめばや
  233. うはごとの宙をさまよふさむさかな
  234. 花ちるや女人のちさきかばんへと
  235. 一歩二歩ひとにおくるる花見かな
  236. ごくらくとかぜにふかるるさくらかな
  237. くるしくばさくらのはなもあをからん
  238. 西方にゆかばやふねにのりの月
  239. かみなりにほろほろ落つるさくらかな
  240. すててきたふる里もさぞ桜かな
  241. 花の香のすこしうるさき夜道かな
  242. 春の山風流隠士笑ふらん
  243. つつじ咲く頃とはなりぬ春もはや
  244. さみだれのこまやかに降る大河かな
  245. うつむいて行けば目に入る落花かな
  246. ひだまりに思ふことなきつつじかな
  247. 思ふほど休めや月の白きうち
  248. おもしろのつつじやねこの門構へ
  249. テイーシヤツは我に似合はじころもがへ
  250. ゆく春や老けゆくごときひとの顔
  251. 白ばらやしろさをこぼすつちのうへ
  252. 日は暮れてかへり路遠しつづみ草
  253. 椿さへおほかた落ちて春くれぬ
  254. 白壁のまばゆさすごしつづみ草
  255. 妖精のささめきかはす五月かな
  256. しやぼん玉あがれや春のはての空
  257. 曇天にい照りかがやく牡丹かな
  258. なめくぢの肌ぬらしたる月夜かな
  259. たんぽぽのわたながめたる老杜かな
  260. 茶をひとつ啜りてあふぐ団扇かな
  261. 日のあつさねこも団扇を欲しげなり
  262. あさに見し胡蝶死したりそのゆふべ
  263. チユーリツプならぶや美人三姉妹
  264. 虻ひとつ死したり暗き部屋のうち
  265. 蝙蝠におされてしづむ入り日かな
  266. 日傘さす口もと見ればほくろかな
  267. 煙草のむ美人に夏の雲かかる
  268. 夜這星夜鷹のなみだ光りけり
  269. 夏空やたばこのけぶり真一条
  270. 常磐木の木の葉ちるなりこの夕べ
  271. 風向きを語るせなかや青あらし
  272. めをととも見えで連れだつ夏野かな
  273. 絵団扇やまるくおさまる美男美女
  274. トンネルを抜ければ渓の若葉かな
  275. すずかぜや腕にながき髪触るる
  276. 海鳥も見えで港の夏きたる
  277. ほととぎす小暗き森の獄舎かな
  278. 月は秋兎もさなん申しけり
  279. 春の夜や夢ばかりなる稲光
  280. 天上に王国ありや雲の峯
  281. 見てをれば青あらしふく座敷かな
  282. 星に手のとどく座敷や宵涼み
  283. 真清水に命つくらん酒の酔ひ
  284. 蝿は蚊は羽音がましき暑さかな
  285. すずしさのかたまりて咲く四葩かな
  286. あぢさゐや琵琶弾き語る寺の声
  287. 出雲より見ばや夫婦の糸桜
  288. 春雨やワインボトルのまろぶ音
  289. 鴛鴦の妻愛のことばを所望せり
  290. 雲の根を釣る日もあらん夏の海
  291. さびしくば花のもとにてまた逢はん