きし あきら

神世とひと世とが流れ込みあう時代、少女の願いを根として咲いた物語が綴られています。 均整を保ちつつ、まろやかさを含んだ文体が読了までの導きとなって、妖しくも美しい世界を追体験でき…続きを読む

薄明の静けさのなか、夢へ至るまでのひと場面が描かれています。
短い文章で、こんなにも恍惚とするものかと、作者の手腕に感服しました。

五百文字に満たない一編のなか、優しい秋の色と薫りとが注がれています。
読み終わりに、ほっと心が温かくなるようです。

“本を買いに行きませんか？”―― 軽やかなお誘いで始まる書籍めぐりのエッセイ。 現在は首都圏を中心に、京都、横浜、鎌倉、果ては金沢までが掲載されています。 背景となる文化や歴史を…続きを読む

静かな独白調の、それゆえにこちらも見つめざるを得ないような、ワンシーンの演出が見事です。 『ムギさんと僕』ファンのわたしとしては、この幻想と勇敢さとの織りあわせが、吉岡梅テイストな…続きを読む

短い不思議な話・百。一〇〇、に相応しく丸い卵に関するお話です。 静かかつ内面をめくられるような心理描写により、不安定な青年の、永劫に見える安心が描き出されています。 作者さまの作…続きを読む

ある晩、黒猫のムギさんと夜の旅に出ることになった僕。 舞台となるカフェに集まる個性豊かなキャラクターに、美味しいご飯、軽快な洒落が織り交ざり、どのお話も楽しく読むことができます。 …続きを読む

中毒者ばかりでなく、一度でも月を食んだ、あるいは飲んだことがある者には切要の一篇。
「月死」に至るまでの記録が細微まで、淡々と綴られている。

レビュー時、四十編まで更新されています。 遊び心があるかと思えば、強く胸打つ意志を感じて、煙った不安を見たかと思えば、流れる水の心地を聞く……。 それらを揺るぎなく落ちつけている…続きを読む

惹きこまれました。夢のような、うつつのようなひとときが、落ちついた語りで綴られています。

吟味され、また洗練された語句で、十七文字を上回る風景が描かれています。 丁寧な語釈と興味をそそる補説があり、俳句の入り口が分からなかった私もその魅力に惹きこまれていきました。 ま…続きを読む