心や身体は動かなくとも、想いは自由に羽ばたける…。切ない想いを艶やかな色彩に宿し、不思議な世界観を構築していました。この限られた文字数の中で、それらは自由に美しく花開いて、読む人たちを魅了し続けます。幻想的な世界を超えて、余韻として、残照として、いつまでも胸に残ると思います。
静かな独白調の、それゆえにこちらも見つめざるを得ないような、ワンシーンの演出が見事です。『ムギさんと僕』ファンのわたしとしては、この幻想と勇敢さとの織りあわせが、吉岡梅テイストなのではないかと思います。