俳句のようなもの

青丹よしお

春の雨湯のごとたぎちけぶりけり

 はるあめのごとたぎちけぶりけり


「たぎつ」は水が激しく流れる、水が逆巻きうねるとのこと。「けぶる」はけむる。


「春の海ひねもすのたりのたりかな」(与謝蕪村)というような句をもちだすまでもなく、春はのどかでほがらかな季節と多くの人が考えていることだろう。春の雨もしとしととしめやかに降るものとして詠む約束になっているのかもしれないが、その日わたしがった雨はしたたかなものに思えた。


 生命の躍動する季節が来るのだと神妙な気持ちになった。

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