夫が妻へ送る手紙のように物語が紡がれています。
読み手にじんわりと沁みる話口調がまた感動を引き寄せました。
兎に角、悲しい物語と思います。救われぬ作風としての完成度は高く、冒頭から静かな悲しさが漂い、どこでも泣けてしまえると思いました。
起伏を期待してしまった私は最後まで救われぬ雰囲気に涙するまでは至らなかったのですが、優しい口調で綴られる物語は絶賛の一品。
もしかしたら、作品には書かれていませんが子々孫々と彼の気持ちが受け継がれていたりするのかもしれません。ただのパッピーエンドでは終わらない。
そんな、つばきさんらしい一面を見れたような気がしました。
心に残る作品。ありがとうございました。
レビューとして内容に触れることがちっとも書けないくらい、あまりにもまっすぐな、素敵なお話。
誰かのために、何かのために、きっとそんなふうに生きてきたお父さんのわがままは、愛情あふれるものでした。いや、本当は愛情ではないのだと思う、それははっきりしているのですが、でもそれ以外の表現がやはり見つからないのです。敢えて言えば愛を超えた恋なのでしょうけど、そういった陳腐な表現は似合わないですよね。
男として、伴侶を失うことなど考えたくもありませんが、それでも、もし自分が将来そうなったとしたら、どんな心根で居るのだろうか? 時間が解決してくれるのだろうか? もし両親のうち、どちらかが先に旅立ったとしたら、残された側はどう生きるのだろうか? それとも、こんなにも純粋な気持ちでいられるのだろうか?
……かーちゃんを大事にしないとな、とちょっと思いました。
二十歳のおばあちゃんへ、というタイトルで、もしかしてSFなのかしらと思って読ませていただいたところ……素敵な意味でやられました。
本当の意味の「二十歳のおばあちゃん」への気持ちを綴られているのですが、本当に綺麗で、こういった物語にとてつもなく弱いです。
先生との恋をされたことがあるかた、もしくは現在されている方も、とても感情移入をして読んでしまうと思います。
学生という時代は本当に、人生からみれば一瞬のように過ぎていきますから、もし、大切な先生がいらっしゃったら、大事にしてほしいと、心から思いました。
熱くなってしまいましたが、それほど素敵な作品です。
一言紹介にもあるように、この小説はその全てが亡き妻への恋文と捉えることができます。
おじいちゃんになった今でも、尚、妻に変わらぬ愛情を抱き続けている主人公がとても素敵です。
穿った見方をすれば、若い頃に亡くなったことで衝突する余地すらなかったからこそ、当時抱いていた愛情をそのまま1人で育むことができたのかもしれませんが、それでも一人の女性を愛し続けるというのはやはり素敵なんですよね。
彼の世にいる妻はいずれ主人公がきたとき、やっぱりこう言うのではないでしょうか。
「わたしの分まで菜々を愛情いっぱい育ててくれてありがとう」――と。
当たり前でも、それは言わずにはいられないでしょう。
再婚もせずに、ひたすらに一途な気持ちを抱きながら愛娘を立派に育ててくれたのですから――。
素敵な「恋の話」を皆さまも是非。
花は散る。
だけど、散るその瞬間まで、生を謳歌し、そして輝き続ける。
いや、散ったあととて、その鮮烈な美しさは思い出として人の心に刻むだろう……
……
…………
………………
あれ? 私は誰の作品を読んでるんだっけ?
と、思わず茶化してみましたが、
この作者様、『墓尾さまシリーズ』等、猟奇を書かせたらもはやカクヨムで知らぬ人がいないという女傑作家さまでございますが、時折
『明日へ奏でる草笛の音』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880716899
など、心に響く作品も書かれる方です。
今作は短編で4,000文字強。
ネタバレにならぬよう内容は避けますが、穏やかな愛の流れを読まれたい方、是非ご一読下さい。
出来れば、そうですね、
陽射しの強くない朝、木々のある公園などで読まれたら……
読後感はより一層臨場感を得られかも知れません。