概要
凍てついた空気も、蕾が芽吹くたびに温めてくれたようです。
ぼくは今でも鮮明に、あのときのことを覚えています。
初めて手をつないで歩いた、川べりの桜並木。
この丘の上も、あのときと同じように薄桃色に輝いています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!愛しの貴女に送る言葉。切ない短編がここにありました。
夫が妻へ送る手紙のように物語が紡がれています。
読み手にじんわりと沁みる話口調がまた感動を引き寄せました。
兎に角、悲しい物語と思います。救われぬ作風としての完成度は高く、冒頭から静かな悲しさが漂い、どこでも泣けてしまえると思いました。
起伏を期待してしまった私は最後まで救われぬ雰囲気に涙するまでは至らなかったのですが、優しい口調で綴られる物語は絶賛の一品。
もしかしたら、作品には書かれていませんが子々孫々と彼の気持ちが受け継がれていたりするのかもしれません。ただのパッピーエンドでは終わらない。
そんな、つばきさんらしい一面を見れたような気がしました。
心に残る作品。ありがとうござ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!純粋――ただただ、純粋
レビューとして内容に触れることがちっとも書けないくらい、あまりにもまっすぐな、素敵なお話。
誰かのために、何かのために、きっとそんなふうに生きてきたお父さんのわがままは、愛情あふれるものでした。いや、本当は愛情ではないのだと思う、それははっきりしているのですが、でもそれ以外の表現がやはり見つからないのです。敢えて言えば愛を超えた恋なのでしょうけど、そういった陳腐な表現は似合わないですよね。
男として、伴侶を失うことなど考えたくもありませんが、それでも、もし自分が将来そうなったとしたら、どんな心根で居るのだろうか? 時間が解決してくれるのだろうか? もし両親のうち、どちらかが先に旅立ったとし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!終始、胸がきゅぅっとなります。きっと誰もが感情移入してしまう物語――。
二十歳のおばあちゃんへ、というタイトルで、もしかしてSFなのかしらと思って読ませていただいたところ……素敵な意味でやられました。
本当の意味の「二十歳のおばあちゃん」への気持ちを綴られているのですが、本当に綺麗で、こういった物語にとてつもなく弱いです。
先生との恋をされたことがあるかた、もしくは現在されている方も、とても感情移入をして読んでしまうと思います。
学生という時代は本当に、人生からみれば一瞬のように過ぎていきますから、もし、大切な先生がいらっしゃったら、大事にしてほしいと、心から思いました。
熱くなってしまいましたが、それほど素敵な作品です。