物語における「おじ」の役割

0.はじめに

　２０１７年４月１日に開催された文芸同人誌即売会・Text-Revolutions5にて、オカワダは有志企画「伯父／叔父コレクション」（以下おじコレ）を主催いたしました。伯父／叔父という切り口から作品を紹介するという企画です。ファンタジー、現代物、恋愛物……さまざまなジャンルの作品が集まりました。

　わたしの作品にはよく「おじ」が登場します。なぜおじなのだろう、おじでえがけることとはなんだろうと考えます。家族のお話、少年少女からみた大人、血縁や婚姻による結びつき、モラトリアム、シェルター、近親間の恋や性愛……。おじコレ参加作品は必ずしもおじ起点の物語とは限りませんでしたが、おじをキーワードに作品を眺めるのは面白い切り口だったように思います。

　企画の中で、「おじレビュー」という感想文を書かせていただきました。参加作品を事前に読ませていただき、企画サイトに載せるというものです。作品の宣伝になったのかどうかはわかりませんが、しばしばおじを題材に作品を書く者として、たいへん豊かな時間を過ごせました。

　この冊子は「おじレビュー」をまとめたものです。企画にご参加いただいたおじ作品を通して、おじによってどのような物語がえがけるのか眺めてみようという試みです。といってもあれこれ作品を読ませていただいての個人的なお遊びですので、気楽にお楽しみいただけましたら、またおじ作品の紹介になりましたら幸いです。そして、あなたさまがおじを書いてみようかなというきっかけになりましたらたいへん嬉しく思います。