虹につまずく

２７才の柚香の毎日は、発達障害（ＡＤＨＤ）特有の「あるある」満載。
人知れず工夫もしているが、会社でも家でも失敗つづき。
先輩たちは温かく指導してくれるものの、障害の知識がない励ましに、引け目を感じるばかり。

視覚の働きがよくない柚香の世界は、つねに不思議に満ちているが、ある日、バスルームに謎の生物Ωが現れる。さらに、Ωを通じてネットで知りあった人びとと、柚香は語りあうようになる。

いっぽう会社では、別の発達障害（アスペルガー障害）をもっているらしい新人が入ってくる。自分よりも失敗をくり返す彼に、柚香の思いは様ざまにゆれて･･

親との関係、元恋人との別れ、女性として当たり前の願い、障害との向きあい方。
生き延びる努力をつづける、柚香の心の軌跡を描く。