ドキッ!最新VRで、おっぱいパンツ好き放題祭り!?(略して、ドキおぱ)

草風水樹(くさかぜみずき)

第1話「デートでポン!!」

「なあうみ、これちょっと試してくれないか?」


 週末、久しぶりに実家に帰省して来た社会人の兄、いちが、高校生の弟の海に向かって、何やら渡しながら言った。


「何それ?兄貴」


 海が、兄貴の手から受け取ったのはゴーグルらしきものだった。そのゴーグルという形で、海はピーン!と来た。


「あっ!VRか」


 海はそう思ったのと同時に、兄貴は開発エンジニアで、そういえば会社で作っていると言ってたなあ!と思い出した。


「これはまだ、市場には出してないヤツなんだよ!!」


 兄貴は最新のVR(バーチャルリアリティ=仮想現実)を海に見せたのだった。


「スゲー!じゃん。いいのこんなの持ってきて!?」


「ああ今、流行のVRを開発したんだ。もちろん事前テストは終わっているんだけど、市場に出す最終段階で身内にも!って事になってさあ、帰省がてら家族に試してみてくれよ!ってことで、ちょっとモニターになってくれよ」


 新し物好きの海はすぐに返事した。


「いいよ!」


 返事をしながら、受け取ったVRを色んな角度から眺める海。


「あれっ!思ったよりも軽いな!?」


 それが海の第一印象だった。VRは画面内臓のため、ある程度の重さがあるのだ。


「そうだろ!最新だからな!!」


「えっ、あれ!?」


 海はゴーグルの中を見て驚いた!!なんと、海が受け取ったVRのゴーグルの中には画面がなかった。


「てかなんで外に!?」


 が、なぜか“外側”に小さな画面があった。


「ねえ兄貴!これは中に画面がないけど、どうやって見るの!?」


 ゴーグルの外に小さな画面があるほかには、目を覆う周りのフチ部分にクッションがあるだけで、ゴーグルの中にあるはずの画面はなかった。そして、ゴーグルのサイドには、ゴーグルと同じ厚みのあるベルトが伸びていて、後頭部で留まる仕組みになっていた。


「ああ、そこが最新!!なんだよ。まあ、そのまま着けてくれよ!スイッチを入れれば見えるからさあ!まあ、そういう仕組みだ!!」


 兄貴は、そういう風に言っただけで、あとはニヤニヤ笑っていた。


なんか訳ありそうだな!?どうやら驚かしてやりたいらしいな!!


 海は、兄貴の思惑にワクワクしながら、VRを頭に装着した。


てか、アイマスクみたいだな!!


 装着すると、真っ暗で何も見えなかった。


「そうそう、目を開けようが閉じようが同じだから好きにしてくれ!!」


 兄貴の声が聞こえた。


「そういえば!イヤホンかヘッドホンは?音はどうやって聞くの!?」


 ふと、海は気づいた。普通のVRだと、音はイヤホンかヘッドホンなのだ!まあ、スピーカーってのもあるけど、やっぱり臨場感に欠ける。


「ああ!それもスイッチを入れれば分かるから!!最新は凄いぞ~!まずは、楽しんでくれ!!」


「えっ!?なんか凄そうだな!!楽しみだ!!!」 


「スイッチはここな!ここを押したらスタートだ」


 兄貴は海の右手を取ると、ゴーグルのフチに指をかけさせた。


「ここ?なんか出っ張りがあるけど」


 海の人差指にスイッチが触れた。


「ああ、それがスイッチだ。じゃあ、押してみな!!」


 兄貴にそう言われ、海はカメラで写真をとるようなポーズで、VRのゴーグル部に付いているスイッチに指をかけた。そして、シャッターを切るように押した。


―――カチッ


 と、いう音と共に海は……







 別空間に飛ばされた!!




――ゴー!!


 ジェットコースターの走る音。


「キャー!!」


 そして、悲鳴が聞こえた。


「スゲー!」


 海は辺りをグルグル見回した!!


「メリーゴーランドに観覧車!!これがVR!?どう見ても、現実のまんまじゃねーか!!」


 海は叫んだ!


 海は今、“本当”に遊園地に居た。


 今までのVRのような目の前に風景が現れるのとは違って、自分が別の空間に本当に飛ばされた!といった感じだった。


「だろ!スゲーだろ!!」


 遠くで兄貴の声が聴こえた。


「途中でやめたくなったら、ゴーグルのスイッチを切るか、外しちゃえば現実に戻るからな!!」


 と、聴こえた兄貴の声の方が”非現実的”に感じて聞こえた。


 海は遊園地の喧騒の中にいた。目の前には遊園地の中を楽しそうに歩く人たちがいて、色んな乗り物の音や人の声がしていたのだった。その時、心地よい風が吹いて来たかと思うと匂いが漂ってきた。


「えっ!この匂いは、ホップコーンじゃねえか!?」


 見ると、売店でポップコーンを売っていた。それもいい匂いをさせて!!


 音、匂い、風の温度!


 どう見ても、いや、全身で感じるこの感覚は、現実のものだった。


「これ、本当は俺、家の中に居るんだよなあ?」


 海は近くにいるであろう兄貴に聞いた。


「そうだ!お前は家の中に居て、ゴーグルを付けてクルクルと回っているぞ!!」


 海の言葉に、遠くで答える兄貴の声がした。


「信じられねーよ!!俺が居るのは、どう見ても遊園地なんだぜ!?目の前にポップコーン売ってるし!!」


「それ買って食べてみろよ!!」


「えっ!?マジか!!」


 海は兄貴の言う通りにした。財布の無いはずのズボンのポケットに手を伸ばす。


あった!


 海は財布からお金を出すと、ポップコーンを買った。


「頂きまーす!!」




―――パクッ


「!!!」


 それは本物の、ポップコーンだった!!


「たっ、食べられる!?食べられるぜ!!このポップコーン!!!」


ありえんだろ!?まさか、食べられるなんて!?


 海は驚きの真っ只中にいた。


 口の中で噛んだポップコーンは喉を通り、胃に入って行った。そして、それを海は感じた! 

「てか、これマジでヤバ旨!なんだけど~!!」


 それから、海は一気に食べた!気づくと腹はポップコーンで膨れていた。


マジか!腹がいい感じだ!!


 海は物凄い驚きの中に居た。




―――トントン


 すると後ろから肩を叩かれた。


「んっ?何、兄貴」


 兄貴が肩を叩いたと思った海は、振り返った。


「えっ!?」


 しかし、そこには……


 そこには、ツインテールの美少女がいた。


「海くん!もお、探したんだよお!!」


 と、ちょっとムクれる美少女。そう言われて慌てる海!!


「えっ!誰?てかなんで俺の名前を知ってるの!?」


 まったく知らない顔の美少女に海の頭は混乱した。すると、空から兄貴の声がした


「お前の名前で登録しといたからさあ!!」


二階堂海にかいどううみくん!あなたは私の幼馴染でしょ!!いったいどうしたの!?」


 美少女は少し心配した顔をした。


「あっ、うん、ちょっとビックリしただけ」


「変な、海くん!」


と、美少女は言うと、海の腕にスルリと自分の腕を絡ませた。


「えっとお~私、お化け屋敷に行きたいな!」


 そう言って美少女は、ニコッ!と笑った。


そっかあ!これはデートVRなんだな!!


 そう、海は理解した。


「海くんとだったら、怖くても平気だよ!」


 首をかたむけ、海の肩に頭をつけて、甘えるようにして美少女は言った。


「ところで名前は?」


「もお!そんなこと言ってえ」


 ふくれたホッペと上目使いで、こっちを見る美少女は、マジ可愛かった!!


「私の名前はあいよ!忘れたふりはやめてよね!!」


 それから海と美少女は、お化け屋敷に入った。お化け屋敷では美少女がお化けにビックリして、案の定、海に抱きつくというテンプレ進行であった。


 そんなこんなで、あとはジェットコースターやメリーゴーランドなどなど楽しんでいくと、夕方になった。


「最後にアレに乗ろうよ!」


 美少女と向かったのは観覧車だった。オレンジ色の夕陽に染まる遊園地。それを一緒に見下ろす海と藍。


「ねえ、観覧車のジンクスって知ってる?」


「なんだよそれ!」


「観覧車の、一番上でキスしたら、ずっーと一緒なんだよ」


 それからのしばらく沈黙が二人を包んだ。観覧車はゆっくりと上に向かっていく。あと少しで一番上になるところで、藍が海に言った。


「ねえ、海くんとだったら私……







 試してみてもいいよ」


 目をつぶって唇を軽くつき出す藍。そして海は、そっと藍の唇にキスをしたのだった。


◇◇◇


「どうだった?」


 兄貴の言葉に、今だ現実に戻れない自分を、海は感じていた。


今さっきまで、藍と二人、遊園地にいたのに……


 海は自分の唇を指でなぞっていた。


藍の唇、プルプルだったな


 海の唇に残る感触は「本物」だった。しばらくして、現実に戻った海は兄貴に言った。


「マジで現実かと思ったよ!!」


「そう思うか!?なら良かったよ」


 兄貴は大喜びだった!!


「この最新VRには超小型の可変焦点照射装置がいくつも入っていて、色んな角度から一点に向かって、指向焦点性の電波を出せるんだ。それで脳の特定の細胞をピンポイントで刺激することが出来から、すべての感覚を現実のように感じられるんだ」


「じゃあ、脳で見てたってことか!!」


「まあ、そういうことだな!」


「だから、画面がないのか!!スゲー技術だな」


「俺たちのチームが開発した!!」


「マジか!兄貴、スゲーな!!」


 海は最新のVR技術にビックリしていた。そんな驚いている海に兄貴は言ったのだった。


「じゃあ次は……







 ムフフ!なヤツを体験だな!!」


つづく

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