第12話「私立ノーパン学園」

『ななな!なんなんだよ!?』


 道路のど真ん中に立っていた海は、目の前にいる“白に紺襟のセーラー服”を着ている女子高生たちを見回し驚いていた。


『この!通学路いっぱいの、お尻の群れは!?』


 お尻の群れ!!を目の前にした海に、兄貴の声が遠くに聞こえた。


――あー!今回のタイトルを一応、伝えとくわ!!今回のタイトルは……「私立ノーパン学園」だ!!!


 海は兄貴の言葉を聞き、目の前の光景とタイトルとの違いに呆れた。


 『おいおい!私立ノーパン学園だとお!?そんなもんじゃねーだろ!!俺の目の前にある光景は、ノーパンなんてもんじゃねーよ!!!



 下半身が……



 下半身が……







 スッポンポン!じゃねーかよおおお!!!!』


 海は心の中で、この驚きとトキメキに叫んでいたのだった。


 今、通学路を歩いている男子は海だけだった。そして、海を中心にノーパンの、下半身スッポンポン!のJKたちが歩いていたのだ。


『マジか!!』


 前後左右、どこを見ても下半身スッポンポン!だ。それはもう!すがすがしいほどに!!!


『うおっ!スッポンポン自転車通学だ!!ヤベー!ケツが、ケツがヤベー!!』


 信号待ちの女子の群れは、これまた強烈だ。下半身スッポンポン!が文字通り並んで勢ぞろいだ!!


『てか、したの毛って、人それぞれなんだな!?』


 海は女子高生たちのアンダーヘアを観察した。


『ほうほう!逆三角が多いな。でも、パンツを履いたらハミ出しそうな毛もあるな!てか、あれは凄いな!!四方八方への爆発パターンか!?うおっ!こんな可愛い子が、実は量も多く、こんがらがってるジャングルだったなんて!?』


 海は知らなかった世界を知り、大興奮だった。


『なんだアレ?長く垂れてる毛か!名付けてしもロン毛か!!こっちは、世紀末なヘアだなあ!ツンツン立ってるモヒカンヘアだ!なんか刺さりそう!!おっとお!これは謎が解明されたな!やっぱ外人は下の色も違うんだ!!』


 そうこうしているうちに、海は学校に着いた。一時間目は音楽だった。


 海たちは机の無い、広い音楽教室に立っていた。


「はい!それでは発声練習からしまーす!!」


 美人音楽教師が言った。


『やっぱり、そうか。そんな気がしていたが……』


 そして音楽室の教壇に立つ美人音楽教師も、ノーパン!いや、下半身スッポンポンだった。


『マジか!剃ってるのか?ツルツールに。てか、これはシールなのか!?』


 美人音楽教師の股間をジッと見た海。股間には、アゲハ蝶のタトゥーがあった。


『ヤベー!上はシックな黒のブラウスなのに、下半身スッポンポンで、ツルツールにアゲハタトゥーは、スゲー光景だな!!イッツ・アダルティー!!!』


 海の周りには、たくさんのお尻!!たくさんの形のアンダーヘアがあり、ありとあらゆる下半身が海の周りに存在していた。


「では、輪になって隣の人のお腹に手を当てて!当てられた手を意識して声を出しまーす!!」


 みんなで輪になった。


「海君、お腹いいよ!」


 海の右隣は藍だった。


『うわっ!ちょっと、マジでかよ!!』


 海は藍に見とれてしまった!


 ツインテールの藍は、白のセーラー服の下は、もちろん下半身スッポンポンだが、足に白いサイハイを履いていた!!


『白セーラーに白サイハイだとお!いやらし過ぎるだろ!コレ!!』


 ちなみに藍は細目の綺麗な逆三角だった。


「海君?」


 海は恐る恐る、藍のお腹に手を伸ばした。


「えっと、二階堂!手はもっと下です。下腹の筋肉を使って声を出しますからね!!」


『えっ?まじですか!!って、ことはもう、ほとんど、アソコなんですけどおおお!!!!』


「早く海君!!しっかりと触ってぇ///」




―――ゴクリッ!!


 海は藍のヘソ下に手を伸ばした。




―――ぷくっ!


『うわっ!や、やわらけー!!』


 ヘアごしの藍の股間は、ぷっくりと盛り上がっていて、めちゃくちゃ柔らかかった。


「ちょっと!海くん!?」


 左隣の牛子がホッペを膨らませて言った。


「なっ、何?牛子?」


 慌てて牛子に答える海。


「早くこっち向いて、お腹触らせてよぉ!!」


「あっ!ごめんごめん」


 そう言うと、海は牛子が腹に触れるように向きを変えた。


『おふっ!!そうだった!牛子はガーストだ!黒のガーターストッキングだ!!』


 向きを変え牛子を見た海は、自分の胸の高鳴りを感じていた。黒いガーターからのびる、同じく黒い紐。


『ヤッベー!なんだこの、熱い衝動は!?』


 黒い紐の先には、薄く肌が見える40デニールの黒いストッキングの履き口がつながっていた。


『清楚な感じの黒髪ロングストレートに、品を与える黒縁のメガネ。そして白セーラーなのに、黒いガーストだと!?牛子、お前は天使の皮をかぶった悪魔だろおおお!?』


 海の心は、叫んでいた!!


『牛子!しかも、お前のヘアは!!







 なぜハート型なんだあああ!?』




―――ズポッ!!


 その時だった。


「牛子!そこ違うからっ!!」


 牛子は海のズボンの中に手を突っ込んでいた。そして、牛子は大きな声で言った。


「先生!海君、立っていまーす」




―――シーンッ!!


 教室中の女子の目が、海の股間へと集中していった。


「牛子は何を言ってるのですか!?当たり前でしょう!二階堂が立っているのは見ればわかりまーす!!」


「違うんです!ギンギンに立ってるんです!!」


「そうですか!そういうことでしたか!!まったく二階堂は、やる気があってよろしいでーす!!!」


 美人音楽教師は、海の発声姿勢が大変良いと思って誉めた。


「あ~あ!残念」


 牛子は小悪魔の笑顔でつぶやいた。


「もう!つまんないから、こうしちゃう!!」




―――ギュッ!!


「うっ!牛子~握るなっ!!」




―――シコシコッ!!


「やめろ!こするなっ!!」

 

 その時だった!




―――キンコーン

――カンコーン


 チャイムが鳴った。藍は海のズボンの中から手を引っ込めた。


『たっ、助かった!!』


「チッ!」


「おい、牛子!!今、チッってしただろ!?」


「えっ!何のこと?」


 海は牛子をにらんだ。


「はい!それじゃあ授業は終わりです。日直!号令かけて!!」




―――先生に向かって集合!


 その時、牛子が海に囁(ささや)いた。


「海くん、良かったね」




―――気をつけ!


「みんなの前で」




―――礼!


っちゃわなくて!!」


 そう言うと牛子は首を傾けた。サラッと長い黒髪が流れた。そして、メガネの黒縁が鈍く光ると、海の我慢汁でテラテラした右手の指を広げると、中指を折ってペロペロと舐めたのだった。


「ブフォッ!!」


 海は牛子の行動に吹き出してしまった。




 休み時間になった。


「さっきは、ごめんね!海くん」


 教室の席に戻った海に、牛子は謝っていた。


「海くん見てたら、なんか凄くイジワルしたくなっちゃたの。ホント、ごめん」


先ほどまでの態度と違って、しおらしく謝る牛子に、仕方がないかと思って海は許すことにした。


「分かったよ!」


「ありがと海くん!お礼に」


そう言いながら牛子は海の耳に顔を近づけた。


「お礼に?」


「色々と女の子の秘密を、教えてあげる!!」


「えっ!?」




 牛子が教えたのは、アンダーヘアの手入れなどについてだった。


「朝からたくさん見てきたと思うけど、実はみんな色々とお手入れしてるんだよ!」


「へえ、どんな?」


「まずは、お手入れするためのV・I・O!」


「V・I・Oって?」


 海の質問に牛子は嬉々として答えた。


「ビキニラインのVライン、股の間のIライン、お尻の奥のOラインを綺麗に剃っているんだよ!」


「へえ!」


 海的には、あまり興味の無い話だった。


『こうして、上半身だけ見てると、普通に見えるんだけどなあ!この机の下はノーパン、いや、下半身スッポンポン!なんだよなあ!!!』


「特にお尻の奥のOラインは自分でするの難しいんだよ?Oラインの場所、海くんわかる?」


 そう言った牛子は立ち上がると、海に向けてお尻を出した。


「ここだよ!ほら、ここ!!」


「ちっ、近いよ!尻近い!!」


 牛子のお尻にキスしそうなほどの距離だった。


「あとね!ヘアーの形!!一般的には逆三角▼ね。藍ちゃんなんかそうだね!続いて多いのが、ナチュラルなスクエアの逆台形!他には、Uラインや、Iラインの長方形。私みたいな可愛いハート♥や逆卵οなーんてのもあるんだよ!!」


 牛子は目をキラキラして言った。


「ちょっとお!何を楽しそうに話してるのよ?」


 藍が話しに入って来た。


「えーと、アンダーヘアのお手入れとかだよ!」


 牛子が言うと藍も話し始めた。


「そうそう!お手入れって大変だよね!?綺麗に処理しないとチクチクするんだよ!あと、肌が荒れたり」


「そうそう!カットした毛が皮膚の下に入って伸びたり、毛抜きで抜いたら炎症を起こしたり!」


 藍と牛子の話は盛り上がって行く。


「カミソリで角質にキズが付いて、色素沈着の黒ずみ!になったり」


「そういえば、昔はお線香でやってたんだって!今ならヒートカッターだよ!!毛先が丸くなるしチクチクしないよ!それに肌にも優しいし!藍もやってみなよ!!」


「ホント?」


「ホントだよ!だから、ハート型にしても肌が大丈夫なんだよおお!!!」


「それなら私も使ってみようかな!!」


 話が止まらない二人に、海はボソッとつぶやいた。


「なんか武器の名前みたいだな!」


 海の頭の中では、巨大人型乗り物が、これまた巨大な斧を振っている図が浮かんでいた。


「藍は今、何使ってるの?」


「私はハサミで簡単に切ってから、仕上げは専用カミソリだよ」


「へえ!専用カミソリかあ。私はそれ使ったことないんだよなあ」


「じゃあ、最初からヒートカッター?」


「ううん、お風呂でも使える、お父さんの電気シェーバー!!」


「えっ―――!!!」


 藍は驚いていた。そんな牛子の話を聞いて海は思った。


『うわっ!牛子のお父さん……んっ?いや、ご褒美か!?』


「そういえば、海くん!手先器用だったよね?」


 牛子が言った。


「ちょっと、私の手入れしてみる?」


「えっ!マジかよ!?」


 目の前で見せられる股間!!


『めっ、目の前にハート型のヘアが!!これを、俺が手入れするのか!?』


 海が牛子の股間を凝視しながら、ドキドキしていると、藍がニヤニヤしながら言った。


「あと最近は、お手入れなしの脱毛!ツルツールってのもあるよね?」


「何っ!?」


 海が反応した。


「あれっ?海くんって、そういう趣味だったの?じゃあ、私の全部剃ってみる?」


 牛子は目を細めながら海に言った。


「いっ、いや、ツルツールって、元から生えない人なんだって思ってたから」


「ふ~ん!」


 牛子が怪しんでいると、けたたましい声がした。


「海先輩~!!先輩って、ツルツールが好きなんですか!!??」


 風子だった。


「こら!風子、声がでかい!!」


 海は慌てて風子の口を押さえた。押さえながら海は風子の下半身を見た。


『風子は背も低いし、顔もスゲー幼いし、どう見たってこれ、ヤベーだろ!?』


 風子の下半身は……




―――犯罪的なツルツールだった。




 さてさて、放課後になった。


「ねえねえ、海君!このあとどうするの?」


 藍に聞かれた。


「ああ、部活めぐりでもしてみようと思って!」


 と、海は答えると、そそくさと独り歩き出したのだった。


『いったい、どんな光景が見られるんだ!?』


 海の中では今!熱い衝動が膨れ上がったいたのだった!!




 まず行ったのは校庭だった。校庭では野球をやっていた。


『上半身だけを見れば、女子高校野球だよな!!』


 下半身丸出しの女の子たちが、グランドで白球を追いかけていた。


『てか、この女の子たちが始球式で投げたら、これがホントのノーパン始球式!!だよな」


 海はそう思いつつ、構内の部活を見に行くことにした。




 次に行ったのは吹奏楽だった。


『おお!みんなお尻を丸出しで座って、演奏しているよ』


 下半身丸出しの女の子達が、演奏をしていた。その中央で、あの美人音楽教師が指揮をしていた。


 アゲハが踊っていた。




 次ぎは、生け花だった。


 牛子が居た。着物を着ているが、上半身までの丈しかなかった。


「私に花を生けて下さい!」


『どこに生けるんだ!?』


 やばそうなので、海はそっと戸を閉めた。




 次ぎは、茶道部だ。


 風子が居た。牛子と同じく上半身までの丈だった。


「海先輩!私の茶を、お飲みください」


 そう風子は言うと正座したまま、茶を自分の股間に注いだ。


「ワカメ酒ならぬ、ワカメ茶です!」


「おい!ツルツールのお前に、ワカメは無いだろ!!」


 海は文句を言いつつも、飲み干してから部屋をあとにした。




 次の部活は……


「総合格闘技!?」


 中に入ると、藍が居た。


「海君!勝負よ」


 赤いヘッドプロテクターから、藍の黒く長い髪が伸びていた。


『髪、結べよなあ』


 メガネは安全の為、外していて、その為に藍の目つきは細く鋭くなっていた。


『ヤベッ!この目つき!!ちょっとゾクゾクする~!!!』


 両手には指ありの赤いグローブ。そして、履いているブーツも赤かった。


『肌色と赤と、反逆の黒い逆三角形かあ!!』


 構えている藍から距離を取って、海は構えた。


『テカテカしてるグローブやブーツはヤバそうだな!当たるとパチンパチンと、マジで痛そうだ!!』


 そう思った、その刹那!!


『来るっ!!』




―――ひょろひょろ~!!


 藍のハイキック!らしきものが、海の顔面に向かってきた。




―――パシッ!!


「なっ、なんと!よくも止めたな、我が必殺のキック!!」


「いや、超~遅いから!てか、藍。丸見えだぞ!?」


 海に片足を持たれ、大股を開いていることに藍は気づいた。


「きゃーーーー!!!」


 こうして、海は勝利を収めたのだった。




 最後は美術部だった。


「おっ!なんかスゲー新鮮だ」


 美術部は今、モデルを相手に写生スケッチしているところだった。


 海がとても新鮮に感じたのは、モデルだった!!


『普通に上下、制服を着てるぜ!そして、自分でスカートめくりあげ!からの~、パンツ膝下げ!とは、ヤベー!俺のビックマグナムが暴発しそうだ!!』


 海は腰を引いたまま、モデルを見ていた。


「うっ!








 ……マジか!?」


 余りにも下半身スッポンポンに慣れた一日の終わりに、新鮮な刺激を受けた海は、違う意味で、スケッチしてしまったのだった。


◇◇◇


「はあ、今回はマジで生々しい女の子の実情を知った気がしたよ」


 海は少し、魂が抜けたような表情をして言った。


「まあ、女の子と付き合うっていうことは、そういうことさ!」


『他にあの日のことも聞いたけど、スッポンポンが日常だらか皆、タン●ンなのか……なんかショック!』


 海はガックリと肩を落としていた。


 兄貴はそれを見て、海の心の声が聞こえた気がした。そして、兄貴は思ったのだった。


『そうだったな、これは未経験にはナイーブな問題だったな。この辺りの対応には幅をもたせた方がいいな。肌色の耐水絆創膏みたいなナプ●ンの設定にしておくか……』


つづく

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