第20話「TS!女の大戦略!?」

「さすがー!海くん!!」


「いやーそれほどでも!」


藍はニコニコしながら海を誉めた。


「海!知らなかったゾ!!お前、物知りだなあ」


「いや、知ってることしか知らないよ!」


牛子が海の知識に驚いた。


「すごーい!どうやってるの海っち!」


風子が目を丸くしながら、興味津々に身を乗り出してきた。


『なんか!スゲー気持ちいいなあああ!!』


海は鼻の下が伸びっぱなしだった。


『今回は今回で、また違った歓びがあるな!!』


海はみんなに誉められて、とにかく良い気分だった。


『Hな事で気持ちいいのもいいけど、こういう気持ちいい!のも、スゲーいいな!!』


尚もみんなが、海の気分を良くしてくれた。


「海くん!センスあるー!!」


「そうなんだあ!海の説明、分かりやすーい!!」


「海っち!最高~!!」


◇◇◇


「兄貴!!」


「どうした海?」


「今回のVRは違った意味で、スゲー気持ちいい!体験だったよ!!」


目を輝かせて、そう言う海の姿を見て兄貴の壱は、そうだろう!そうだろう!と、うなずいていた。


「たまには、Hじゃないけど気持ちいい体験もいいだろ?」


「ああ!とにかく気分がスゲーいいや!」


海はとにかくご満悦だ。


『兄貴任せのVRでも、いい事あるんだな!!』


海は余りに気分の良さに、今までの展開のことをすっかりと忘れている様子だった。


「さあて兄貴!次のVRの用意を頼むよ~!!」


「おお!分かった海」


次のVRを用意しながら兄貴は、ニヤリとしたのだった。


◇◇◇


『あっ!知ってる天井だ』


VRの中で目覚めた海は、見覚えのある天井にワクワクした。


「と、いうことは!!」


海はガバッ!っと布団を、はねのけた。


そして自分の胸を、ムンズ!と鷲づかみにした。


―――モミモミモミモミ




「くぅ~~~!うほーっ!!自分のおっぱいだけど、超気持ちいいよぉおおお!!!」


海の体は、女の子になっていた。


海の体は、VRの中で女の子にトランスしたのだった。


「……そして、乳輪を丁寧に指でグルグルして!……うはっ!!」


海の背中に電気が走った。


「……そしてそして!乳首をつまむと……くはっ!!」


―――コリコリコリコリ




「やべー!よだれ出る!!」


海は身をよじって快楽に浸った。


「ハアハア、そしてお待ちかね!神秘の谷間へ!!」


海は片手を下半身へと滑らした。


―クリッ!




―――ビクンッ!!


「うぅっ!!」


無意識に動いてしまう海の腰。




―――クリ!


――クリクリ!!


「ああんっ!」


海の口から色っぽい声がこぼれてしまった。


「くーぅ!女の子って、始めっからクライマックスなのかよ!?こりゃ逝くときには頭おかしくなる!って言うの理解で・き……はうんっ!頭おかしくなっちゃう~!!!」




―――ビクンッ!


――ビクッビクンッ!!


「はぁあああああんっ!!らめぇえええええええ!!!」




―――ガクガクガクッ!


そして海の腰が揺れたかと思うと……




その時、スマホが鳴った。


『あ~!もう、いい所なのにぃいいいい!!!』


不機嫌になりつつも海は、スマホを手に取り画面を見た。


見ると藍からの電話だった。


海が電話に出ると……




「海子、今から来て!」


高圧的な藍の声だった。


『あれ?なんかいつもと声が違うな?てか、スゲー態度が悪いんですけどwww!!』


そう海が思っていると、藍の聞いたことの無い甲高い声がスマホから響いた。


「とにかく!話あるからうちに来て!!」


語気の強い藍の声に、海は大慌てで藍の家に向かうことにした。


藍の家に行くと、藍は海に待ってました!とばかりに、こう言った。


「さあ海子!来週末は合コンよ!!」


「えっ!合コンって!?」


海の目が点になった。


『何で、俺が合コンに!?』


そんな海などお構いなしに藍は話を続けた。


「何言ってるのよ!次もあるわよってこの間、言ったでしょ?まあ、前回は海子、散々だったから、忘れたいんでしょうけどぉおおお!!!」


藍は嫌味ったらしく海に言った。


『前回って、何なんだよ!知らねーよ!!そういう設定なだけだろうが!!!』


海は内心、凄くムッとしていた。


『てか、スゲー嫌だな、こんな藍……』


気分悪い反面、海はなんか悲しい気持ちになっていた。


でも海は、顔に出さずに思うだけにしていた。


「でも、この間の海子は、あまりにも散々だったから、少しは教えてあげるわよ!!」


藍は、とにかく上から目線で海に言った。


『うわっ!すんげー!むかつく!!』


海はそう思いつつも藍に丁寧に聞いた。


「なっ、何のためにコンパに、いくの?」


すると、藍は鋭い目つきでキッと海をにらんだかと思うと、海にこう言った。


「何のためって!?海子あんた?いい男の子を捕まえるためにでしょ!?」


胸を張って言う藍に、海はマジで理解不能になった。


「えっ!?」


と、驚きを言葉にしつつ、海は考えていた。


『あれ?俺のことは!?あんなに誉めてたじゃん!?てか、今までスゲー!いい感じでいたじゃん!!あれはいったい、何だったの~!?』


海は頭がクラクラした。


「えっ!?じゃないわよ!!いい男の子を捕まえるために、頑張るんでしょう?」


『頑張るって!?』


海の頭の中には“?”が、たくさん浮かんでいた。


なので聞いてみた。


「だって藍!海君の事があるんじゃないの?」


すると藍はすかさず海に言い返して来た。


「ええっ!?何言ってるの!?大丈夫、海子!?熱あんじゃない!?」


スゲー!バカにされている!!と、一瞬は思った海だが、藍の様子を見てみると、藍は本気で心配しているようだった。


「とにかく海子!特訓よ!!」


「えっ!特訓!?」


こうして、合コンに向けての特訓が始まった。




「上目使いは基本中の基本だからね!!」


まずは、目の練習だった。


「こっ、こう?」


海は、上目使いをイメージしてやってみた。


「アゴは引かない!黒目の下が出てるよ!恐いよそれじゃあ、三白眼だよ!相手を殺すんじゃないんだからあ!!」


海は藍に突っ込まれていた。


『マジか!?上目使い!激難し!!』


海は唖然としていた。


「上目使いなんて、こんなの中学までにマスターすることだよ!基本だよおお!!てか、当たり前だけどおお、作った笑顔も基本でしょ?分かってるよね?」




ガーン!!


『マジか!?』


海の中で何かが壊れた音がした。


「じゃあもう、次を練習しよう!首を可愛く曲げてみて!!」


『てか、可愛く曲げるって……いったい何!?』


と、海は思ったものの、とりあえず藍に言われた通りに“首”を傾けてみた。


「こう?」


「曲げすぎよ!!」


案の定、藍に突っ込まれてしまった。


「いい?角度は8度よ!8度が一番可愛く見える角度なのよ!!」


藍はそう言って、海の顔に分度器を当てた。


『マジかよ!?そんなちょっとな角度を、どうやってキープするんだよ!?』


と、思っていたら藍が言った。


「だから、何度も鏡の前で練習するのよ!出来るようになるまで!!」


『やべっ!顔に出てたかのか!?』


海は、女の恐ろしさを感じていた。


「じゃあ次!乾杯の仕方あああ!!」


藍は呆れつつも海に言った。


「乾杯なんて簡単だろ?」


「だろ?」


藍は、海の“だろ?”に反応した。


『しまった!今は俺は女の子だった!!』


慌てて海は言いなおした。

「あっ!えっと……でしょ?」


海はニーッと笑った。


藍はジッとにらんだ。


「じゃあ海子、やってみて!」


海は目の前に用意された、氷水の入ったグラスを持ってやってみた。


「乾杯~!!」


海は元気よく、下から突き出すように乾杯した。


「はい!ダメダメー!!」


「えっ!?」


海は藍にダメだしされた。


「それじゃあ、飲み屋のオッサンの乾杯でしょ?」


藍の目は怒っていた。


『やっべ!コエ~!!』


海がおびえていると藍は言った。


「いい?絶対、肘を上げちゃダメ!!やって見せるから良く見て!!」


次に藍がやって見せた。


「かんぱーい♪」


『なんだこの乾杯の仕方!?』


海は目が点になった。


藍は飛びきりの笑顔を浮かべていた。


でも、海に説明をし始めると、いきなり真顔になった。


「いい?脇をしめてからの乾杯!そして基本は内回りよ!優しくソフトに!!戻したグラスはアゴの近く!!」


アゴの近く!と言った瞬間に作ったと思われる、スゲーいい笑顔の藍に向かって海は言った。


「こっ、こう?」


海もやってみた。


「まあまあね!」


『ふう~!!』


藍のその言葉に、海はちょっとホッとした。


「じゃあ、それとさっきの8度を合わせる!!」


海は顔を傾けた。


『8度!8度!』


海は角度を意識しながらやってみた。


「うわっ!冷てー!!」


「海子!顔反対でしょ!!」


海はグラスの方に顔を傾けてしまった。


「こう?」


気を取り直して、今度は逆にした。


「まあいいかな。海子は素材的には悪くないんだから、ちゃんとしないともったいないよ!!」


『なんか俺、誉められてるのか!?』


海は複雑な気持ちになった。


その時だった。


「 フフフフ!藍、それだけじゃ男の子は虜にならないわよ?」


「うっ、牛子! 分かってるわよ!!」


牛子が現れた。


続いて知っている声がした。


「風子も来たよー!!」


『これでいつものメンバーがそろったけど……』


海はこれから何が始まるのかと、ビクビクしていた。


「じゃあ仲間が来たところで、これも基本なんだけど、キャラかぶりは絶対にNG!だからね」


藍がさも当たり前!といった感じで海に言った。


「きゃ、キャラかぶり?」


海は聞くしかなかった。


「そうよ!私のキャラは、まずは……このツインテールでしょ!」


藍は頭を振ってツインテールを揺らしてみせた。


それから、スカートのスソをチラッとめくって海に言った。


「そして、デニール60のサイハイソックスよ!!」


「なるほど!」


海は意味が分かったようだ。


『つまりは個性が大事という事か!!』


すると、牛子が言った。


「私はだから、黒髪ロングストレートなんだよ!!」


牛子は両手で黒髪をフワッとさせた。


『スゲー!いい!!』


いい匂いが海の鼻をくすぐった。


「その上でさらに、メガネをかけて知的にしてるの!!」


そう言う牛子の言葉に海はアレ?っと思った。


『メガネをかけて?知的に見せてる?』


なので海は牛子に聞いた。


「ねえ牛子?メガネをかけてるって?目が良くないんじゃなかったの?」


さっき習った8度に首を傾けながら、海は牛子に聞いてみた。


その瞬間、藍が黙ってGJぐっじょぶ!と、ばかりに親指を立てた。


牛子は言った。


「ほら!これ伊達だから」


「えっ!?」


牛子は、自分のメガネに指を入れて、クイックイッした。


「レンズ入ってなかったの~!?」


海は、アゴに両手のグーを当てて言ってみた。


藍は黙って首を横に振っていた。


『ああ、これはブリッコだった見たいだな』


海はちょっと反省した。


「だから、キャラのためなんだって!ていうか、私の一番の武器はこれよ!!」


そう言うと牛子も、スカートをめくってみせた。


『えっ!どこまでめくるんだよ!?』


藍よりも上の方までめくっていく牛子。


すると、黒いパンツが見えてきて……




『うっ、そうだ!牛子はガーストだ!!』


海は思い出していた。


牛子のスカートの中では、黒いストッキングが、黒いガーターベルトにつながっていた。


「ちなみに、普段は40デニールだけど、コンパでは30よ!何故かわかる海子?」


「えっ!?」


海はマジで分からなかった。


すると牛子があわれむように海に言った。


「ホント!海子はバカね。この透け感がいいんじゃない?明るいところなら40がいいけど、お店の中に入るでしょ?だから、さらに透けさせることでよりアピール出来るのよ!!」


その牛子の言葉に海は思った。


『女こえーよ!!』


海の中の、女の子のイメージに明らかに大きなヒビが入っていた。


「私だって、キャラかぶらないよぉおおお!!」


風子が言った。


「ホント!風子のキャラはいいわ!背も低いし、ショートカットのロリキャラ最高ね!!」


藍が言った。


「まあ、この身長と幼い顔から考えたら、ロリキャラしかいなからね!」


そう言う風子の顔は、ロリなのに大人だった。


『なんなんだ!風子!てか、お前なんでそんなに客観的なんだ!?』


海の口は知らない間に、あんぐりと開いていた。


「でもロリキャラはロリキャラで大変なんだよ?ロリキャラ好きは大抵……」


と、風子が言いかけた所で牛子が言った。


「まあ、超イケメンがロリマニアだと引くけどね!」


牛子は話をそらしたつもりでいたが、風子は話を続けてだした。


「 てか!そもそも、ロリータっていうのは、映画ロリータから来ていて、登場する14歳の女の子、つまり思春期の女の子が欲情対象の男に使う言葉なんだよ!」


『えっ!?何、風子の本当のキャラってこんななの!?』


海は目を丸くした。


「昔はひとくくりだったけど、今では小学生的な私を好むのは、ロリータではなくアリスコンプレックス!つまりアリコンなんだよね!!分かる海子?」


風子はそのまま海につっかかっていた。


「あ、ああ、うん」


「で、ちなみに幼児だと……




 まあ、全部ひっくるめてペド野郎でいいんだけどね!!」


海は、とにかく風子が物凄くロリコンを軽蔑していることが良く分かった。


「でも、風子はロリキャラなんでしょう?」


海は恐る恐る聞いた。


「それはあくまで見た目のキャラってことよ!!本当にロリ好きには私、興味ないの!!」


「……」


そういう風子に、海はもはや何も言えなかった。


「てか、男ってオッパイ好きよねえ?」


藍が怪しい目つきになる。


「そうよね!だから胸も武器になるわ!!」


藍よりも大きいオッパイの牛子も言った。


「ちっぱい好きもいるわよ?」


風子も負けじと言った。


『やべー!みんな口元は笑っているけど、目だけが笑ってないぞ!!てか、女って相手を出し抜くことしか考えてないのか!?』


海は何だが、知ってはいけない事を知ってしまいドキドキして来た。


「てか俺!いや、二階堂くんのことはどうするの?」


海が言うと、今度は藍が目を丸くした。


「何言ってるのよ!!それは、海君がこの世界に来たらの話でしょ!?」


「えっ!?」


「海君のことも、たくさんいるうちの一人にすぎないわ!!」


「ええっ!?」


「だから、海くんがこの世界に来たら、ちゃんともてなすわよ!」


と、藍は胸を張って言っていた。


「はあ~」


海は小さなため息をついた。


そして、さらに藍の言葉にビックリした。


「そう、もてなしね!嫌われない程度に、好きになるようにね!!」




―――ガクッ!!


『いっ、今までのあれは、全て幻だったのか!! 嫌われない程度に好きって!? てか、こいつら人工知能はVRの世界で、一つの人格として独立してたって事なのか!!いや、これが女っていう意識のプログラムなのか!?』


海には、絶望と驚きしかなかった。


「えっ!全部、演技だったのかよ!?」


海は思わず声に出して言っていた。


「男の子だってそうでしょ?ハーレムばっか夢見てね!!」


「そうだ!そうだ!!」


牛子と風子が反論した。


「そうそう!女は三才から嘘をつけるのよ!!周りからのフィードバックで仕草を学んでいくんだから!!!」


牛子は得意そうに言った。


「嘘かよ!」


またもや海は声に出して言った。


すると、藍がまたまたあわれんだ表情で海に言った。


「嘘だけど、嘘ではないわ」


「えっ?どういうこと?」


海は聞いた。


「会話って大変だよね?」


「えっ?まあ、うん」


突然の藍の問いに、海は思わず返事をした。


「大事なのはね?出来る女の、さしすせそよ海子!!」


「えっ!?」


驚いている海に向かって、牛子と風子が説明を始めた。


「さ!さすが~!」


「し!知らなかったあ~!」


「す!すごーい!」


「せ!センスある~!」


「そ!そうなんだあ~!!」


牛子と風子は順番に言っていた。


『あれ?どっかで聞いたことあるセリフだな?』


海はそれらのセリフに、思い当たっていた。


「そ、それって!?」


海が驚きの声を上げると、藍は海子が理解したのだと思ってこう言った。


「ね?そう言われると気持ちいいでしょ?それは嘘だけど、嘘じゃないのよ」


『あ~!もう、頭の中がグルグルしてきた~!!』


海は頭をかかえだしていた。


「やっぱり嘘じゃん」


海は言った。


「違うわよ!これは恋愛戦略よ!!こんなの基礎よ!こういう技を駆使して、男を虜にしていくの!そして、その中から私たちが選んでいくのよ!!!」


藍の言葉に、海はショックしかなかった。


そんな海の姿を見て牛子が声をかけた。


「どうしたのよ海子?てかまだまだ、出会いでの選別段階だからね!それから付き合ってみて、行動や言動をみて」


風子もそれに続いた。


「そうそう!最終的には、身体を重ねてみないとねえ!!」


その言葉に海は耳を疑った。


『ええええ!!!身体の相性だとおおお!?』


「変な性癖は勘弁だよね!!ひたすらしゃぶるのって、アゴが疲れるから嫌!!」


風子はそう言って舌を出した。


海はひたすら、目玉どこー!?の状態だ。


「そうそう!女の子のあえぎ声なんて、ホントに感じて出してる訳じゃないのにね?それを喜んでる男っているよね?」


牛子は言った。


「えっ?じゃあ、なんで出すの!?」


海は思わず聞いていた。


「そんなの気分よ!!」


「えっ!気分って、やっぱり気持ち良いって事なの!?」


「違うわよ!気分だって!!」


海は意味が分からなかった。


「てっきり、ホントに気持ちいいから出してるのかと思ってたのに!」


すると、三人がそろって海に言った。


「「「海子、AVの見すぎだよ~!!!」」」


―――ガ~ン!!




「じゃあ、嘘なの!?」


「嘘でもないわ!」


海の問いに、またもや訳の分からない答えをいう藍。


「じゃあ何!?」


海が言うと、そこに風子が言った。


「もう!女の子のくせにそんなことも分からないの?お祭りの時にかけ声するでしょ?」


「えっ、お祭り?ワッショイ!ってやつ?」


「それと同じよ!気分が盛り上がるでしょ?」


牛子が言った。


海は、猛烈にガックリした。


3人は海を見ながら、ニンマリしていた。


すると、藍が張り切って言った。


「さあ!じゃあ気を取り直して、改めて合コンに向けて特訓よ!!」


「そうだ!タッチの仕方も大事だよね!!」


牛子が言った。


「そうよ!男はタッチされると喜ぶわ!でも、あざといのはダメ!!回りにも気づかれるのわ最低よ!!」


藍の言葉に風子が答えた。


「だから、こっそり足と足でタッチだよね!」


風子の答えに藍はニッコリした。


「髪型を変えるのもいいわ!雰囲気が変わると男たちからの目線も変わるわ」


そう藍は言うと、ツインテールをロングストレートした。


すると、牛子も黒髪ロングストレートをポニーテールにした。


「短い髪だって、髪留めやカチューシャするだけで印象が変わるんだから!」


風子も、はしゃぎながら言っていた。


でも、そんな藍たちの声は今の海には、もはや遠く、遥か遠くに聞こえる音でしかなかったのだった。


◇◇◇


『女の子ってスゲーこえーよ!!藍とか風子とか!牛子ですら、あんなこと考えてたとは!!そんでもって、すべてが演技だったなんて!!』


現実に戻った海はガックリしていた。


その姿を見た兄貴の壱は笑って海に言った。


「あははは!海も違う意味で大人になったな!!」


「あー!もう女なんて信じないよおおおお!!」


と、叫ぶ海。


「あははは!!」


兄貴の高笑いが響いた。


そして海は独り、つぶやいのだった。


「はあ~、ドルチェ食べたい」


つづく


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