第16話「女の子のパ●ツ売ります!前編」

【ご注意】


暑さをぶっとばせ!夏のホラー企画!!です。


 グロいのが苦手な人はここでバックしてください。


 それでは、あとは……







 自己責任で。


◇◇◇



―――ブー、ブー


――ピロリロリン!


 スマホのヴァイブ音とメロディが、海の耳に遠く聞こえる。




―――ブー、ブー


――ピロリロリン!


『んっ?』


 ヴァイブ音とメロディは、ずっと続いていて、あやふやだった海の意識を、しだいに明確にしていった。


「ふあああ!!」


 意識がやや覚醒したところで、海は両腕をいっぱいに伸ばしながら、大きなあくびをした。


 その瞬間!


「あたたた!」


 海の体に痛みが走った。




―――ガツン


 痛みに体をひねると、肘が床にぶつかった。


「えっ!?」


『イテーと思ったら床に、じかに寝てたのか!!』


 海は痛みに体を起すと自分の体を見てみた。


 海の服装は白いTシャツにジーパンだけ。足は裸足だった。


『しかも、服を着たまま寝てたのか!そりゃ、余計に痛いわ!!』


 そして海は、部屋の中を見渡した。


「えっ!!なんだよ!ここ!?」


 海は驚きの声を上げた!!


 窓はもちろん、ドアもない部屋だった。


『俺は監禁!……されたのか!?』


 海は今回のVR体験に、なにか気味の悪いものを感じていた。


 天井には、今では珍しい裸電球が傘などなく、むき出しのまま、ぶら下がっていた。


 窓もトイレも、ドアさえも何もない部屋。


「あれ?これって冷蔵庫だよな?」


 でも、何もない部屋の片隅にワンドアの、大き目の冷蔵庫があった。


『なかに、なんか入ってるのか!?』




―――ゾゾゾゾ!!


 そう思った瞬間。


「うわっ!」

 

 海の全身を寒気が走った。




―――ゴクリッ!


 でも、中を見てみたい衝動に海はかられた。


『中から、なんか出てくるのか?』


「よし!!」


 海は、意を決してドアに手を伸ばした。




――ガシッ!


 冷蔵庫の取っ手を握る海。


 海は、いつでも逃げられるような体勢をとった。




―――ガチャッ!!


 海はドアを開けて中を見た。


「!!!」







「ふうー!!」


 海は、大きく息を吐いた。


『棚が四段だけか……』


 冷蔵庫内の明かりが、妙にまぶしかった。


 海は冷蔵庫の中を良く見たが、棚以外は何も入っていなかった。


『てか、なんで冷蔵庫が?』




―――バタンッ


 海は首をひねりながら冷蔵庫をしめた。


「ふうー!!」


 再び海は、大きく息を吐いた。


『そうだ!スマホが鳴ってたなあ!!』


 海は思い出すと、スマホを手にとって恐る恐る見てみた。


「んっ?」


 メールが来ていた。


『んっ?なんだあ!?』


 差し出し先は、知らない所だった。


『ドキおぱ!からのお知らせ?なんだ?ドキおぱ!って?』


 海は首をかしげた。


 そして見出しを見た。


『なになに……







 女の子のパ●ツ売ります!?』


 海は目を疑った!!


『女の子のパ●ツ売りますって、いったい!?』


「なんなんだよ!このメールは!?」


 海は思わず、声に出して驚いていた。


『こんなメールに対して、どうしろっていうんだよおおおお!!!』


 海は頭が痛くなって来た。


『でもこれ、頼まないと先に進まない気がするよなあ』


 海はため息を吐きつつ、タッチし本文を読むことにした。


『えっと、ドキおぱ!からのお知らせ。いつも弊社をご利用いただき誠にありがとうございます。このたび、弊社より「女の子のパ●ツ売ります!……ポロリあり!!」の企画を行いますことを、お知らせ致しました』


 海は「ポロリあり!!」の言葉に反応した。


『なんなんだよ!ポロリって!?てか、女の子のパンツって、いったいなんなんだよ!!そんな趣味ねーよ!!でもって、ポロリって、どうパンツとつながんだよおおお!!!』


 海は凄く疲れた顔をしたが、注文しないと話が進まないので、注文する事にした。


『尚、毎日、配達を行いますので。どうぞ宜しくお願いします……って!?えっ!!毎日、パンツが届くのかああああ!?』


 海は驚きながら、その日が終わった。




 そして次の日。


 目が覚めると部屋の真ん中に段ボール箱があった。


「こん中、いっぱいにパンツが入ってるのか!?」


 海は一週間で、この部屋の床一面がパンツに埋もれる場面を想像した。


「勘弁してくれよおお!!!」


 海は文句を言いつつ、段ボールを開けた。


「うわっ!!!!」


 海は段ボールの中を見て、飛び退いた!!


「マジか!?これ犯罪じゃねーよな!!」


 箱を開けてビックリした。


 海の目の前には……







 肩から切り落とされたらしい、腕があったからだ。


 海は恐る恐る箱の中を見直した。


 段ボールの中には、肩から切り落とされた右腕が、肘が曲がった形で入っていた。


『てか、こっ、これが毎日、届くのか!?意味わかんねー!!』


 段ボールの中に、何か書いてある紙が入っていた。


 海はそれを取り出し読んでみた。


『生ものなので冷蔵庫にて保存下さい』


「マジかよおおおお!!!」


 海は心底、うんざりした。


『こんなの保存して、どうすんだよおおお!!!』


 海は心の中で叫んでいた。


『とはいえ、腐ったら嫌だしなあ……』


 が、仕方がないので海は薄目を開けつつ、『切り落とされた右腕』の手首をつかんだ。


「えっ!?」


 意外と重かった。


『腕だけで3、4キロあるんじゃねーの!?』


 そして海は、腕の切断面を見てうんざりした。


 白い骨、赤い肉と血管、黄色がかった皮膚が見えた。


『血は出てないけど、これ、やっぱ本物だよな!?』


 海は重いので、腕を両手で持つと冷蔵庫へと入れた。


『部屋中、臭くなったら嫌だからな!!』


 そう思いながら入れた。




 二日目。


 今度は足が届いた。


『てか、リアルな人形の手足だと思えば、なんてことないな!!』


 海は右足の太ももを持ってみた。


「うおっ!」


 腕以上の、思いがけない重さに海は声を上げた。


『これ、10キロのお米と同じぐらいじゃねーの!?』


 しっかりと腰を入れて、切断された右足を持った。


 そして昨日と同じく、冷蔵庫に入れることにした。


 海は一段目に右腕、二段目に右足を入れた。




三日目。


「はあ~!」


 海は大きなため息をついた。


『下半身かよ』


 本当にリアルな下半身が段ボールの中に入っていた。


『ヘアは細目だな』


 下半身も、足と同じく重かった。


『しかし、これどうすんだ!?』


 腕、足、下半身と冷蔵庫の中の四段の棚のうち、上から三段に体のパーツが入れて海は考えていた。


『これ!リアル過ぎてキメーよ!!なんか猟奇な趣味に目覚めそうだよ!!』


「てか、そうか!!」


 海は気がついた。


『女の子のパ●ツって、パンツじゃなくて、パーツのことだったんだ!!』


 今さら気づいた海。


 そう思った海は、とてもガッカリしていた。




 しばらくして、海は再び冷蔵庫を開けた。


『てか、パーツ同士をつなげたら、どうなるのかな!?』


 素朴な疑問だった。


 海は、自分の中に沸き起こった好奇心を押さえられなかった。


 下半身に、右足をつなげてみた。




――にちゃっ


 と、音を立てて右足と下半身がつながった。


 でも、つなぎ目には、線が残っていた。




―――ビクンッ!


――ビクビクンッ!!


「うわっ!!!」


 足が一瞬、痙攣けいれんした。


おどかすなよおおお!」


 海は後手うしろでになってあとずさっていた。


「次は手だな!」


 それでも沸き立つ好奇心に海は、右腕もつないでみた。




――にちゃっ


 と、音を立てて右腕がつながった。


 今度も、つなぎ目には線が残っていた。




―――ばたんっ!


――ばたん、ばたんっ!!


 とたんに下半身が暴れだした!!!


「うおっ!」


 下半身につながった手や足が、それぞれの方向にと、バラバラに動いていた。


『やめてくれー!スゲー、気持ち悪りいよおおおお!!』


 海は涙目で、暴れる下半身を押さえつけた。


『動きが!動きが!!スゲー気持ち悪りいよおおお!!!』


 そして、海は必死につなぎ目に手をかけると、右手と右足をもぎ取った。


「ハア、ハア、ハア……」


 すると、下半身は静かになった。


『これ、夢に出てきそうだからやめよう!!』


 この組み合わせは、本当に気持ち悪いと思った海だった。




 四日目。


 左足が届いた。


「うげっ!」


 これで両足がそろったが、昨日のことを思い出し、海はそのまま冷蔵庫に入れることにした。


 五日目。 


 左腕が届いた。これで両手がそろった。


「へへへへ!」


 すると海は何を思ったか?冷蔵庫を開けると中から、もう一本の腕を取り出した。


 そして、両腕の肩口を持つと笑い声をあげた。


「うははは!!腕踊りじゃああああ!!!」


 海は笑いながら、二本の腕ををブラブラと振り回して遊んだ。


「うははは!!








 ……何やってんだろ、俺」




 六日目。


「なんだよコレ!?」


 海は段ボールの中を見て、困惑していた。


『なんで、この状況で、コレなんだよ……』


 段ボールの中には、黒いガーターベルトと黒いストッキングが入っていた。


『パンツはねーのな!』


 段ボールの中には、パンツは無かった。


 海は、黒いストッキングを手にしてつぶやいた。


「40デニールか」


 そして、中に入っていた紙を見た。


『なになに?下半身に両足をつなげたあと……




 履かせて下さいだと!?』


「マジかよ!履かせてどうすんだよおおお!?」


 海のこめかみから冷汗が流れた。


 でも、仕方がないから諦めて、下半身に両足をつなげた。




―――ビクンッ!


――ビクビクンッ!!


 と、痙攣けいれんしたかと思うと、スクッと立ち上がった。


「うわっ!」


 目の前には下半身。


 そう!下半身のみが立っていた!!


 海のマグナムは座っていた。


「さてさて、どうやって履かせんだ!?」


 海はガーストの手順書を見た。


『まずは、ストッキングか』


 そう思って海がストッキングをつかむと、下半身は片足をあげた。


「はっ、履かせろってことか!?」


 下半身の片足に、海はストッキングを履かせた。


 今、海の目の前には、ストッキングを履いただけの、文字通りの下半身があった。


「うわあああ!」


 海はつい声を上げてしまった。


『マジマジと見ると、イヤらしいようやキモいような』


 海は難しい顔になっていた。


 次に海はガーターベルトをつけた。


『なになに?このガーターベルトのヒモをストッキングにつけるのか』


 いちいち面倒くせーな!と思いつつも海は、ガーターベルトのハングにストッキングをかけた。


「出来た!」


 色んな意味でゾクッとする下半身が、海の目の前に居た。


『いわゆるこれが、エログロか!?』


 と、海は困惑した表情で思っていた。


 すると、下半身が歩き出した。


『なんか、上半身が見えないだけ!な、動きだな!!』


 海は下半身の動きに驚いていた。


 それだけ自然な歩き方だったのだ。

 

 下半身は、ガーストを履いたまま部屋の中を歩き回った。


 そして、海の前に来ると、いきなりしゃがみだした。


「うわっ!!」


『丸見えだって!!』


 下半身はM字で、しゃがんでいた。


 そして、海を挑発するように腰だけをイヤらしく振った。




―――ピクッ!


「マジか!?」


 海のマグナムが反応した。


「やべー!やべーよお!俺の中のなんかが、壊れていく気がするよおおお!!!」


 海は落ち込んでいた。


 その間も、ぐいんぐいんとM字のまま、腰をイヤらしく振る下半身。


『Hなことをしろ!っと言うのか!?この下半身は!?』


 物凄く挑発的な下半身だ!!




―――ググググ!!!


 そして下半身は、M字を海の顔に近づけて、物凄く開いてきた。




――クパッ!!


「うわわわわ!!!!」


 海は半泣きになって、中身を見た。


 四次元ホールが丸見えだった!!




―――ゾゾゾゾ!!


 海の全身に鳥肌が立った。


「もう!どうなっても知らないからなあ!!!」


 海は必死で……




 レロレロした。







―――シクシク


――シクシク


『なんか、俺の大切なものが壊れちゃった』


 事が終わったあとで、海は泣いていた。


 そのかたわらで、スッキリしたかの表情の下半身が横になって、くつろいでいたのだった。


 つづく

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