第2話 咲かない花

 翌朝、部屋に差し込んでくる光で目を覚ました。

 外に出てみると、木々に囲まれた村を天高くから太陽が照らしていた。

 初夏の暑さを拭うような涼しい風が吹いていた。澄んだ空気と土の匂いを感じながら、思いきり深呼吸をした。こんな空気を感じるのは久しぶりだ。

 暫くパジャマのままで身体をほぐす体操をしていると、橋じいがやってきた。

 よれた白いタンクトップに汚れた紺色のズボンという出で立ちで、両手にビニール袋を持っていた。

「おう、香澄ちゃん、おはよう。朝から体操とは偉いじゃねえか。」

「はい、お陰様で昨日はゆっくり眠れました。」

 そう言って頭を下げると橋じいはまた人懐っこく笑った。

「なに、俺達はゼントルマンだからよ、レデーには優しいのよ。困ったら幾らでも言いな。木にせずにゆっくりしてきな。香澄ちゃんみたいな美人だとこの村では目立つだろうが、村の若えモンには香澄ちゃんに勝手に手え出したら容赦しねえぞって釘刺しとくからよ。」

 高らかに笑う橋じいに安心感を覚える。

「ほれ、食いねぇ。」

 橋じいが片方のビニール袋を手渡してきた。中には色の良いリンゴがたんまりと入っていた。

「わあ、すごい。」

「皮なんて剥かずによ、そのまま食った方がうめえぞ。」

「リンゴが夏に獲れるんですか?」

「いんや、冷凍保存してんのさ。ここいらは不便なとこだから食料は無駄にしねえのよ。まあ、貧乏性って言っちゃあそこまでよ。」

 そう言いながら笑う橋じいを横目にリンゴに被りついた。冷凍していたという割には瑞々しく、たっぷりと蜜を含んでいた。

「美味しい!」

 私が感嘆の声を上げると橋じいは「そうだろう」と言ってまた笑った。そして、もう一つのリンゴが入ったビニール袋を少し掲げた。

「これからトネリのとこに連れていってやるよ。こいつを分けてやるのさ。食いながら歩くべよ。」

 私はパジャマ姿のまま、ゆっくりと橋じいに付いていった。


 村の中心を横切るでこぼこ道路をゆっくりと朝日を浴びながら歩く。村人のほとんどは既に農作業を始めていた。村人の数はまだそれほど多くないが、意外なことに若い者も多く、中には20歳程に見られる者もいた。まだ畑に何も植えられていないのか、どの畑も真っ新だった。それを村人達は昔ながらに鍬を使って一生懸命耕している。

 崖の底にあり、ひどく不便な村は、道の舗装すらされていない。自動車の姿はないが自転車に乗っている人間は僅かに見える。皆家の裏に畑を持っており、早朝から生き生きと農業に勤しむ光景は正に田舎そのものだ。

 周囲は木々に囲まれて深い森になっているにも関わらず、この村だけぽっかりと空いたように陽に照らされている。

 不思議な村だ、と私は思った。

「こう言ってはなんですが、活気がありますね。」

 失礼だとは思いつつも、感じたことを正直に口にした。

「そうだろ?この村で生まれたもんは、出戻って来ることが多いのさ。若え奴も結構いるんだ。」

 橋じいは自慢げに言った。

「何でかはわかんねけどよ、土いじりで育ったもんは結局土に戻って来んのかもなあ。でも、一つ問題があんだよな。」

「何ですか?」

「嫁だよ。どいつもこいつも独り身よ。若いもんも俺達年寄りもよ。」

 はあ、と私は曖昧な返事をした。

「男の人が多いんですか?それとも女の人が少ないんですかね。」

 トネリは別として、と付け加えた私の問いに橋じいは困ったような表情で笑った。

「いや、何人かいるんだけどよ。こいつが揃いも揃ってちょっと分け有りでな。」

 朗らかな橋じいが言い淀むくらいだから相当問題のある人達なのだろうと私は思った。 そんなことを考えながら歩いていると畑の中に見覚えのある顔がいた。

「おう、権田。」

 橋じいが農作業に精を出す権田に声をかけた。権田はこちらを向くと、私がいることに気付き、慌てて頭を下げた。お辞儀を返すと、橋じいが権田に向かって叫んだ。

「権田ぁ、てめ、いつも俺に会っても頭なんぞ下げねだろが。何で今日は丁寧にお辞儀しとんだ。」

 冷やかされた権田はまた顔を真っ赤にしてはにかんだ。少し浮ついた見た目に似合わず、純朴な青年だ。

「権田さん、昨日はありがとうございました。」

 私がそう言うと、権田は慌てて手を横に振った。

「いえ、とんでもないっす。」

 権田は早口に言うと、畏まって何度も頭を下げた。

「ここって権田さんのお家の畑じゃないですよね?」

「あ、手伝ってるんです。ここの人は足悪いんで。」

 はにかみながら言う権田はどこか満足気だった。本当に善意でやっているのだろう。そこに不満や押し付けがましさは存在しない。私には権田が眩しく見えた。

 

 権田と別れ、また暫く歩いていると今度は自転車で走ってくる警官のような姿が見えた。どうやらこの村の駐在のようだ。

 駐在はまだ若い青年だった。背が高く、痩せており、鋭い目をしていた。田舎にいそうないわゆる「温厚そうな村の駐在さん」には一見程遠い。

 駐在は私の姿を見つけると驚いたようにこちらにやってきた。

「おう、新さん、おはよう。」

「菊川さん、こちらの方は?」

 新と呼ばれた駐在が香澄を見据えながら橋じいに聞いた。

「香澄ちゃんって言ってよ。山で迷ってたところをトネリに助けられてここまで来たのよ。美人さんだろ。」

「迷ってた?何でこんなところで?」

 新が問いかけてきた。悪気はないのかもしれないが、射抜くような視線に少し戸惑った。

「一人旅をしてるんです。それで変わった駅で降りて歩いてたら崖から落ちてここまで来ました。」

「家の人が心配しているだろう。連絡先を教えてくれ。すぐに連絡を取ってあげるよ。」

「いえ、大丈夫です。親には暫く旅行に行くと言ってありますし。」

「そうは言ってもこんなところに来るとは思ってないだろう。ここは電車もないし、バスもない。行政に連絡を取って、人を派遣してもらわないと出られない。それもいつ来れるか分からないんだ。帰ろうと思ってもすぐに帰れるわけじゃないんだぞ。」

 人の派遣、というのはおそらく救助隊の事だろう。村から出るだけで救助隊なんて随分大事だと私は思ったが、村の場所が場所だけに納得がいくことだった。

「帰りたくなったらお願いします。」

「だから、早く帰った方がいいと言ってるんだ。この村には旅館なんてないんだぞ。」

「でも・・・」

 そう言いながら思ったのはトネリの事だった。こんなところに長く滞在するのは確かに考えられないが、あの子にもう一度会いたいと思った。

「でも、何だ?」

「もう少しだけここにいさせてください。助けてくれた子に感謝を言いたいんです。」

「じゃあそれだけ言ったら駐在所に寄ってくれ。連絡はしておくから。」

「すぐですか?」

「そうだ。早く帰って親を安心させろ。捜索願でも出されてたらどうするんだ?」

 しかし、頻りに帰ることを促す新に対して、私も少し苛立った。新はまだ何か言いたそうだったが、橋じいが割って入った。

「まあまあ新さん、そう言うなよ。ちょっとの宿泊だったら何とかなるさ。昨日も空家に泊まってもらったしよ。暫くそうすりゃあいい。村にお客さんなんて滅多に来ねえんだ。香澄ちゃんだって子供じゃねえし、帰る時期なんて自分で判断出来るさ。それによ・・・。」

 橋じいはそう言って私に笑いかけた。

「こんなとこまで来てくれたんだ。これも何かの巡り合わせかもしれねえよ。」

 橋じいに言われると、新は不満そうに自転車で去っていった。私はすっかり嫌な気分になっていた。

「すまねえな、香澄ちゃん。あいつはこの村で唯一の堅苦しい役人だからよ。」

「堅苦しいとかより、嫌な感じです。」

「嫌な奴だよ。皆そう言ってらあ。細い目で人をジロジロ見て、愛想の一つもねえ。でも役場がねえから行政への手続きとかあいつがそういう事もやってんだよ。」

 だから嫌な奴だが必要なんだよ、としかめっ面で言った。

 せっかくの爽やかな気分が台無しにされた。


 村はずれにの川沿いにトネリの家はあった。

 しかし、それが家だと言われてもすぐには信じられなかった。私の目の前にあったのは元は水車小屋だったというボロ小屋だった。築100年は経っていそうで、屋根はところどころ剥がれており、家の壁を作る板はところどころ腐り、中には折れている柱もあるほどだった。まるでこの場所だけ台風が来たのかと疑うほどだ。

 いつ潰れてもおかしくないと私は不安に思った。

「トネリは本当にこんなところに住んでるの?」

「そうさ。おーい、トネリ。」

 橋じいが家の前で大声で叫ぶ。隣にいると耳がはち切れそうなくらいの声量だ。しかし、返事はない。

「入るぞー。」

 橋じいはそう言うと建てつけの悪い木扉をスライドさせ、中に入っていった。私も恐る恐る中に入った。中は8畳ほどの部屋だが、流しや生活用品が全て収まっており、面積以上に狭く感じる。しかし、外観に反して中は意外に綺麗で、小さな丸テーブルが置かれ、窓には花柄のカーテンが掛かっていた。

 部屋を見回すと、布団が大きく盛り上がっている。トネリと、おそらくクマのぬいぐるみが眠っているんだろうと容易に想像が出来た。さっきの橋じいの声で起きないとはなかなかの強心臓だ。

「まだ寝てんのか、子供は風の子だぞ!」

 橋じいが笑いながら言うが、トネリが起きる様子は一向にない。

「リンゴ置いとくぞ。食えよー。」

 そう言って橋じいは「トネリサイズ」の小さな丸テーブルにリンゴを入れたビニール袋を置いた。

「起きねえな。いつもだよ。こうなったら起きねえ。香澄ちゃん、帰るか。」

「私、もうちょっとだけ残ります。」

 橋じいが驚くのをよそに、私はにこりと笑った。何かを察したのか、橋じいは笑顔のまま何も言わずに家を後にした。

 しん、となった部屋で暫く立ちすくんでいたが、やがて意を決したようにトネリの布団に近づく。布団を頭まで被って寝ているのでその姿は見えないが、トネリの呼吸や僅かに上下する布団の動きが、そこにトネリがいることを強く主張していた。

 大人げなく胸が高鳴った。

 トネリを起こしては悪いという良心と、寝顔を見たいという邪心が入り混じっていた。

「トネリ。」

 小声で囁いてみる。すると、ほんの少し布団が震えた。起きているのだろうか。それとも寝ぼけているのだろうか。私はさらに近づき、布団の横に腰かけた。

 そして、ゆっくりと頭から布団を上げてみる。少し寝顔を見るだけ。そう思っていた。

 徐々に美しい金髪が姿を現し、トネリの顔が見えた。クマのぬいぐるみに顔を埋めているが、寝返りをうつと、穏やかで、美しい寝顔が覗いた。

 私は暫らくその寝顔を眺めていた。そして、恐る恐る手を伸ばすと、ゆっくりその頬に指を這わせた。まるで水の上を滑るように滑らかな感触が走った。ほう、と感嘆の声を吐くと、今度は鼻、そして唇をそっと撫でてみる。

 自分の邪な行為に気付き、慌てて指を下げる。その反動で気が付いたのか、トネリがゆっくりと目を開いていく。

「あ、ごめんね。」

 私が小さな声で言うと、トネリは惚けたような表情のまま首だけを動かし、私の方に向き直った。

「かすみ?」

 小動物の鳴き声のようなか細い声でトネリは尋ねた。布団を口元まで被り直す仕草には私に対する僅かな警戒心が見て取れた。

「おはよう。橋じいが案内してくれたの。昨日のお礼を言いたくて。でも、起こしちゃってごめんね。」

 私が申し訳なさそうな顔をすると、トネリは警戒を解いたように上半身を起こして首を横に振った。そして、何度か瞬きをしてから目をぱちりと開いた。

「橋じいがリンゴくれたの。一緒に食べない?」

 そう囁くと、トネリはこくんと頷いてもぞもぞと起きてきた。白地に所々ほつれた安物のパジャマを着ていた。

 私は部屋を見渡した。古びた流し台には木のまな板と洗った食器が置かれている。冷蔵庫はないが、流し台の横には小さな段ボール箱があり、土のついたジャガイモや玉ねぎが入っている。トネリがここで生活しているのは間違いないようだ。

 私は少し躊躇いながらも食器と共に乾かしてあった包丁を借りると、リンゴの皮を剥き、一口サイズに切った。

 その手際良さにクマのぬいぐるみを抱いたトネリが驚いた顔で見てきた。

「香澄、上手。」

「普通よ。でも、カフェでアルバイトしてた時に手伝ったりしてたからね。」

 そう言ってトネリに微笑んで見せると、トネリはまた首を傾げた。おそらくカフェとかアルバイトと言った言葉が分からなかったのだろう、と私は察した。

 リンゴを皿に盛り付けて、テーブルに運び、二人で齧りながらぼんやりと窓から入ってくる日光を浴びていた。穏やかな時間が流れていた。色々な事をしてきたが、この場所だと何かが違った。はあ、と大きく深呼吸を吐いた後、トネリが自分を見ていることに気が付いた。

「どうしたの?」

「香澄は不思議な人。この村の人達と全然違う。」

 それを聞いて私は驚いた。そして、少し笑った。

「私は普通よ。全然、普通。むしろトネリの方が不思議よ。」

「そう?」

「そうよ。」

 トネリが首を傾げる仕草が見たくて、つい言ってしまう。トネリは次のリンゴを齧る。彼女の柔らかそうな唇にリンゴが挟まる様に香澄は見とれていた。

 見れば見る程に不思議だった。彼女の存在はこの村の中でとにかく異質だ。私の視線に気付いたのか、トネリがまた私をじっと見返した。

「トネリはどうしてここに住んでいるの?」

 私は次のリンゴを手に取りながら言った。

「元々はご両親と一緒に住んでいたの?」

 トネリはちょっと困ったようにクマのぬいぐるみを抱いた。私は悪いことを聞いたかもしれないと思った。僅かな沈黙の後、トネリが口を開いた。

「生まれた時からこの村に一人でいるから、分からないの。」

「一人?」

「うん。ここに住んでたの。他の事は分からないの。」

 トネリの表情は相変わらず困っているようだったが、悲しさや寂しさは伝わってこなかった。彼女にとっては当たり前の事だったのだろう、と私は思った。

「ここでの生活は楽しい?」

 私は少し意地悪な質問をした。

「うん。うーん。」

 トネリは一回頷いたかと思うと、やはり首を捻って考え直した。

「やっぱりわかんない。」

 それもそうだろう。トネリは村以外の世界を知らない。毎日ここで生活していることが彼女にとって当たり前なのだから。私は、トネリの事を少し不憫に思うと共に、こんな環境で当たり前に暮らしているトネリに感心した。

「トネリは偉いね。」

「そう?」

トネリが口癖のように言う「そう?」という言葉から彼女の純粋さが伝わってくる。香澄は何故かこれまでに感じたことのない満足感を得ていた。トネリのような美しい子供が、無垢なままで育っていることを嬉しく思った。

「偉いよ。」

 どこか満足げに言う私をトネリはやはり不思議そうに見つめていた。

 私はこの村の不思議な雰囲気とトネリの存在に徐々に惹かれていた。


 リンゴを食べ終えた後、私はトネリと一緒に外に出た。

 村の周りを案内してもらうことにした。

 トネリは黄色い鮮やかなワンピースを着ていた。トネリの金色の髪よりも少し褪せた色で、所々に花柄をあしらえたそれは、日本人離れした少女をより鮮やかに見せた。

 トネリはクマのぬいぐるみを抱えたまま、私の少し前を歩いている。舗装されていないでこぼこ道を慣れた足取りで進んでいく。

「この先に何があるの?」

 私は少し早歩きで進むトネリを追いかけながら尋ねた。

「お花。」

 トネリは表情を変えずに言った。

 二人がやってきたのは、僅かな花が咲いた川辺だった。手入れされた花畑には程遠い、白い小さな花がまばらに咲いただけの小さな草場。トネリくらいの年齢の少女の遊び場にはとても見えなかった。

 こんなところで何をするつもりなのか、私は戸惑った。トネリはぬいぐるみを私に渡して無造作に川に入っていくと、水を手で掬い、花にかけた。

「花を育ててるの?」

 私は腰を少しかがめてトネリに尋ねたが、トネリは首を横に振った。

「水をあげてるの。」

「そうね。育ててるのよ。」

 しかし、トネリは水を零し終えると不思議そうな表情で香澄を見た。

「水をあげてるだけじゃ大きくならないよ。お花は咲かないもの。駐在さんが言ってたの。」

花という言葉から何の感情も感じられなかった。余計な事を吹き込む大人がいる、と私は憤りを覚えた。

「そんなことないわ。咲いてるじゃない。」

 私は周囲に咲いた小さな花たちを指差した。

「咲くのかな?」

「そうよ。トネリが水をあげるから咲くのよ。」

 そう言って頭を撫でる。柔らかい金髪が指の間を流れる。トネリが少しだけ喜んだ気がして、嬉しくなった。

 不意にトネリが私に顔を向けた。やや上目使いでくりっとした目が真っ直ぐに向けられている。どきりとした。

「香澄はお花好き?」

「まあ、好きといえば好きね。」

 トネリがふうん、と言い、不思議そうに目を瞬かせた。私は自分の答え方が大人らしくて嫌だなと感じた。

「トネリはお花が好きなのね。」

「うん、好き。」

「じゃあ、この野原いっぱいにお花が咲いたらトネリも嬉しい?」

「ここにいっぱい?」

 私が笑顔で頷くと、トネリが私の手を引っ張った。

「どうやったら出来るの?」

「そうね、これから毎日一緒に水をあげて、大切にお花たちの世話をしてあげればきっと出来るわ。」

 トネリは少し戸惑った様子だった。世話をする、というのはどうしていいのかわからないようだった。

「大丈夫よ。私が手伝ってあげるわ。」

 私がそう言うと、トネリは一瞬驚いた顔をした後、ぱあっと笑顔になった。トネリが初めて見せた満面の笑顔に、私は胸が高鳴るのを感じた。それは、嬉しいとか癒されるといった簡単なものではなく、感情をくすぐられるような特別なものだった。


 夕暮れの帰り道をトネリと二人で手を繋いで歩く。

 空を見上げると、生い茂る木々の隙間から夕陽が差し込んでくる。空から覗き込んでもきっとこの村は見えないだろうが、ここから空を見上げることは出来る。

 ふとトネリの方を向くと彼女は私に向かってにこっと微笑んだ。

 この笑顔のせいで暫くここを離れられそうになかった。

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