概要
2877年。砂漠と化した東京で、僕らは<痕跡>を探す。
遠い未来の思い出です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!残酷なのに、静かに「美しい」です。
最後まで、息をのんで読み進めていく作品でした。
砂漠化した未来の東京。
「見渡す限り」を歩き続ける「調査員」、突如目の前に現れる砂で出来た「人工建造物」。
静かに、ひたすら進み続けているだけの場面でも、常に不安を感じながら次の文章を目で追っていきました。特にビルの登場シーンは脳内イメージでも轟音が聞こえてくるほどの迫力でした。
再び崩れる建造物、再び歩き続ける調査員、やっとたどり着いた目的地、現れるスカイツリー・・・。
そこで人類滅亡の瞬間を知る主人公。主人公もまた、実は既に・・・・?
心地いいほどのSFど真ん中の作品で、非常に心揺らされ面白かったです。
何より情景の色合いがとても綺麗で興…続きを読む - ★★★ Excellent!!!記録は自走する
青い空と強い日差し、目の前に広がるのは一面の砂。
人の息吹はどこにも無い。
けれど、そこはかつての東京だという。
その証拠に、砂漠は思い出したようにかつての構造物を象る。
ビルや家、橋や公園、そして天空樹。
そんな茫洋たる砂漠を行く調査隊の話。
乾いた簡素な文章と謎めいた砂塵の構造物が、ミステリアスに物語を彩る。
けれど、この物語が伝えたいのは世界観やトリックではないはず。
砂漠を行く調査隊の前で都市は虚ろに再生される。
既に人が絶えた今、その構造物に意味はない。
ただ記録だけが自走しかつての街を描き出すのみ。
主人公たちは、そんな虚ろな記録をひたすらに調査する。
その虚ろさは街だけが…続きを読む