概要
その陰には常に、精神感応的に《繋がる》異能者たち《スタージアン》の存在があった。
果たして《スタージアン》とは何者か? 彼らの目的は? そして《スタージアン》に対して、ヒトはどう臨むのか?
銀河系人類千年の歴史を紐解く物語が、今ここに紡がれる。
〇第一部「スタージア」星暦七八一年~
中等院の巡礼研修で人類発祥の惑星スタージアを訪れた少年シンタックは、ふとした弾み
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!書籍化作家の原点となる大作
無料のweb小説でこんな大作が読めてしまっていいのだろうか、というのが率直な感想です。あるいは逆に、部数や売り上げに左右されない趣味の領域であるからこそ、これだけのものを自由に書き続けることができたのかもしれませんが。
どちらにしても、完結までにかけた意欲と熱量の高さとには、敬服するしかありません。
星の彼方より現れ、銀河に人類社会を広めたとされる原始の民と、その意志を継ぐスタージアン。精神感応的に《繋がる》一方で、同じ星系から出ることができない彼らはどこから来たのか。そして、彼らが伝承して恐れるオーグとは何か。
異なる5つの時代を描きながら、徐々に謎の核心へと近づいていく一大未来叙事詩で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!web小説で「読者を選ばないSF」が読める、という一個の奇跡
スペースオペラにもいろいろある。
およそフィクションのジャンルというものは、先駆者となる偉大な作家が開拓し、その影響を受けた後続のフォロワーたちが継承・発展させてゆくものと相場は決まっている。
大分類としてはSFのサブジャンルに数えられることの多いスペースオペラも、例外ではない。
古今東西のスペースオペラをそれなりの数読み漁っている人であれば、作者がプロであれアマであれ、新しい作品を読んだときに「これは田中芳樹の『銀河英雄伝説』を意識しているな」とか、「こっちはダン・シモンズの『ハイペリオン』シリーズに影響を受けているな」とかいった、いわば隠然たる文芸的血脈とでも呼ぶべき系譜を感じ取れた経…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これはまだ始まりに過ぎない!
前置き:この物語は群像劇である。
レビューを書くにあたり、第一部の主人公を便宜上主人公と記載しています。
第二部 魔女 ~星暦六九九年~ 第一章 覚醒 第一話 祖霊祭(3)まで読了時点でのレビューです。
【物語は】
ある二人の会話から展開されていく。今までどのようなルートを経て、現在地に辿り着いたのか。ここまでにかかった期間など。ここでは男女の会話に対する期待の違いや、差が見えて面白い。(多様性はあるとは思うが)
彼らの目的地はスタージアという惑星。主人公にとっては、長年憧れの場所だったようだ。彼は研修生という立場であり、幼馴染みたちと共に博物院にて講義をうけることになる。読者も彼ら同様、講…続きを読む - ★★ Very Good!!一本、筋が通っているからこそ、歴史である
数世代にわたる壮大なスケール、銀河の歴史を綴る一大大河ドラマと、この物語を飾る言葉はいくらでも浮かぶのですが、それはこの物語が一本、筋を通しているからだと感じました。
大河は途中で堰き止められていたのでは成り立たないし、歴史とは連続した大きな流れであるのだから、細くなって支流に分かれてしまうのでもダメですから。
その大きな筋に、私は題名にある「絆」を感じました。
作中、記憶や意識を共有するテクノロジーが出て来ますが、それに対する選択、懐く感情の機微に、作中に登場する人物が生きている気配があるように思いました。個々人の問題になりかねない要素を、これでもかと掘り下げ、ストーリーの根…続きを読む - ★★★ Excellent!!!《繋がる》意識とすれ違う心、果てなき宇宙で人の絆を求めるスペースオペラ
遥かな銀河系に渡る人類の歴史を、生身の人間の苦悩や葛藤を描くことで紐解く、壮大なスケールのSF作品です。
この物語で特徴的なのが、精神感応で《繋がる》人々の存在です。
星から星へと移住を繰り返す人類に与えられた能力。
思考、思想、感情をも他者と共有することで、大いなる意思の集合体に組み込まれます。
その一方、曖昧となる《個》としての自分。やがて、どこまでが自分でどこからが他者なのか分からなくなっていく——
人間の心理の動きに重きを置いた物語の展開で、思わず主人公たちに感情移入してしまいます。
未来のテクノロジーや複雑化した政治情勢など、整然とした巧みな文章で綴られる精緻な世界観が、お話に…続きを読む