概要
一九五四年以来、人類を脅かし続けてきた怪獣。それでも、何とか地球の支配者の地位を守り抜いていた人類の前に現れたのは、謎の白い巨人、アルガ。圧倒的なまでのその強さに、人類はなすすべもなかった。東京は、たった一体の怪獣の前に消滅させられたのである。
─それから三年後、物語は、かつての親友を失った一人の青年から始まる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「これは特撮なんだ」と、体で分からせてくれる情熱の一作
正直に告白します。この作品を読み始めて最初の数話、率直に言うと、戦闘描写で今どんな絵が展開されているのか、正確に掴みきれない瞬間が何度もありました。専門用語や必殺技の密度が高く、動きの流れよりも、その情報量の洪水にまず圧倒される、という読み方になりました。
でも、読み進めるうちに気づいたんです。これは特撮なんだ、と。
ウルトラマンや仮面ライダーが、CGではなく着ぐるみとミニチュアで作られてきた歴史そのものが、技術的な制約の中で、それでも本気で怪獣と戦っているという、作り手の情熱を輝かせてきました。この作品の戦闘描写も、“読者が完璧に状況を把握できるかどうか”より、“とにかくとんでもないこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!画面の前のワクワクをもう一度。
子どものころ、朝のヒーローものを楽しみにしていたことを思い出しました。
人間世界に混じり込んだ怪獣と戦い、そして最後は巨大なロボットが必殺技で敵を滅ぼす。
この作品はそれを想起させると同時に、さらに深く内部を掘り進んだものとなっております。
テレビで見るものは良いところを選んで見せておりますが、実際のヒーローだって苦悩し、傷付き、疲れている。
そして、それは街の人も同じです。
いつ怪獣に襲われるかわからない恐怖。
それに加えて、自分を助けてくれるヒーロー側も、戦闘の最中には自分を傷つけるモノになるかもしれない。
子どものころには想像していなかった部分を見せてくれるこの作品は、大人だから…続きを読む - ★★★ Excellent!!!~ 東京消滅から三年、特撮への愛が文章で蘇る ~
「二〇二四年、東京は消滅した」という冒頭の一文だけで、この作品が背負う世界の重さが伝わってくる。一九五四年以来人類を脅かし続ける怪獣という設定に、円谷プロ的な特撮の文法を文章で再現しようとする試みが、レビューで繰り返し評されている通り見事に結実している。
戦闘シーンの煽り構図、火花散るコックピット、活動限界のあるロボット——文字でしか伝えられないはずの「特撮の質感」を、読者の脳内で映像に変換させる筆力がこの作品の核だと思う。一方で、かつての親友を失った青年という個人的な喪失の物語が、巨大な怪獣災害というスケールの裏にしっかり根を張っている点も好印象だ。レビューで触れられている「正義の奴隷でい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!70年続く怪獣世界で少年が誓う朝の情景が刺さる
第一話の冒頭から世界観の重量が伝わってくる。
1954年以来70年以上、怪獣が人類を脅かし続けている世界で、17歳の少年・一条竜が毎朝悪夢の脂汗を拭って起き、白の隊服を着て窓を開けると「巨大なトーチカと空の戦闘機」が当たり前の日常として広がっている——このたった数行の情景描写で、この世界の歪さが鮮明に伝わってくる。
冒頭の夢パートが味わい深い。「正義のために戦う」のに「全ては滅んだ」という矛盾、そして「正義の奴隷で良い」という自己暗示のような諦め——これが序章として静かに配置されているのが巧い。後の展開への布石として機能していそうだ。
主人公が額縁の中の両親(十年前を夢に見るという表現で…続きを読む