第5話 川の中へフェードイン

 いい天気ですね、桜木さくらぎ 雪夜ゆきやです。


 帰宅部主将(暫定)として、買い食いなどもってのほか…買い食いは非行の第一歩。

 主将特権で100円未満はOKとした。

 アイスをかじりながら、河原を歩く

(氷は苦手だ……)

 歯に滲みる、たまにカキコキって音が苦手だ。

 お冷の氷をガリガリ噛み砕くヤツを見ると殺意すら覚える。

 僕が念動力系でなくて命拾いした奴は多いはずだ。


 ドボンッ!

 水に何かが落ちた。

 ベビーカーだけが道に残され、赤ちゃんがキャッキャッと笑っている。

(まさか!)

 僕は川を覗き込む、母親だろうか女性が流されていく!!

(この子の笑顔を絶やすわけにはいかない……)

「変身!」

 鞄からお面を取りだし装着する。

「さて…次は…」

 僕はあたりを見回す

 向こうから幼稚園児達が保母さんと歩いてくる。

(ちっ…アレしかいないのか…)

 若干好みではない

(仕方ない…職業的なアレで妄想して…カバーだ)

 僕が駆け寄って行くと、幼稚園生に囲まれた。

 そう、ヒーローお面が大人気なのだ。

 キャッキャッとはしゃぐ園児達。

 保母さんもニコニコと笑いながら近づいてくる。

「子供お好きなんですね」

 それどころではない。

「協力をお願いします」

「はっ?」

「フェードイン!」

 僕は、すばやく保母さんのスカートに滑り込む。

「なっ?何にににに……」

(ジャージを履いているだと!)

 好みでないうえに、ジャージって…マズイ、コンプリートしない…。

 時間が無い…色んな意味で。

 流される人妻、僕の後頭部をボコボコ殴る保母さん。

(時間が無いんだ!)

 僕は保母さんのジャージに手を掛けて一気に引きずりおろした。

(はっ!)

 僕の視線が釘付けになる。

 保母さんの僕を殴る手が止まる。

 それは、数秒間…時が止まったような感覚だった。

(THE WORLD)

 僕は、勢い余って保母さんのパンティを半分ほど下ろしてしまったのだ。

 脱げかけたピンクと黒のチェックのパンティの上に黒い茂みを確認できた。

(好みじゃないけど…悔しいけど…僕は男なんだな…)

「一気に…コンプリート!」


 ゴボッ…当然だが水の中。

 まずは人妻を掴まなければ…足首を掴んで上体を水面に向ける。

 視界の先に、揺らめくスカート、その奥に人妻のショーツが揺らめく。

(グレーか…)

 水面に顔をだし、人妻を頭部を抱える。

「はぁーはぁー…レ…レボリューション…はぁ、はぁオエッ」

 お面のせいだ…僕まで溺れかけた。

(張り付くものなのだな…)

 人妻はギリギリ意識がある…しかし、ぐったりしている。

(水を飲んでいるな…急がねば…)

 僕は人妻を川岸まで運んで横に寝かす。

「大丈夫ですよ…落ち着いて呼吸を整えてください」

軽くうなずく人妻。

 薄いスカートは濡れて、太もものラインで張り付き、グレーのショーツが透けている。

(あぁ…こういうのもいい……)

 急がねば!

「フェードイン!」

 僕は人妻のスカートをめくり、潜り込む。

 身体に水滴が落ちる、濡れた衣服がピチャリと張り付く

(あぁ…なんだ…触れてないのに…密着しているような…濡れたグレーのショーツ…触れてみたい…ひやりとしたふとももの感触…あぁ…あぁ…コンプリート)


 僕はふたたび保母さんの中へ

「レボリューション!」

「ひっ!」

「緊急連絡です!この先で女性が溺れてます。引き揚げましたが意識がありません、至急救急車をお願いします!」

「あんた…どこから…誰なのよ!」

「私は、アングルメーター!、国家非公認のヒーローだ!」

「はっ?」

「急げ!手遅れになるぞ!」

 保母さんは携帯から救急車を呼んでくれた。

「協力に感謝する」

 決めポーズで幼稚園児の拍手を背中に僕は帰宅する。

「ミッションコンプリート」

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