第30話 天敵はブリーフ

 まぁ警備員の名前が解っただけでも大きな進展としよう。

 額に『肉』と書かれた迦楼人かるとは、後で折檻するとして、問題は警備員だ。


 やっかいな仕事に就いていやがる。

 保安要員だもん…こっち天然猥褻物てんねんわいせつぶつばっかだもん。


 想像が難しいんだよな~警備員を捕縛するSM嬢とか…シズシズだけは捕縛されたがる側だ…うん…縛られる警備員&シズシズ、縛る乱子…あっ想像できた。

 なぜだろう、乱子にだけは勝てる気がしないのは…。


 相手が解ったところで、次なる問題を考えなければならない…そう、能力はなにか?

 解っていることは、モノを動かせるサイコキネシス系だということだけ。


 能力は発動してからだと手に負えない、発動させないことが望ましいのだ。


 ………という話をしたかったのだが…やる気の無さが滲み出ている天然猥褻物てんねんわいせつぶつの面々。

「特に絡んでこなければほっとけば…」

 乱子のやる気の無さは甚だしい。

 基本、警備員が好みではないのだ。

 蝶代ちよの能力は男性限定ヒーリング、攻撃型ではない。

 迦楼人かるとは乗り気じゃない、シズシズは乱子か蝶代ちよが居なければ看護婦さんに頼るしかないのだが…その場合また警察のご厄介に…。

 そもそも…蝶代ちよのヒーリング、迦楼人かるとの幽体離脱は後方支援型であり、奇襲にはまったく不向き。

 乱子の透明化、シズシズのサイコキネシスは発動条件に問題があり…。


 今回は僕が単独で動く方がいい、面倒くさい…。

 だが…看護婦ばかりに迷惑は掛けられない…とりあえず乱子に付き合ってもらうことにした。


 そんなわけで、警備員 岩田いわた 六三郎ろくさぶろうの前に立った。

「やはり…来たか…SMPCの邪魔はするな、小僧」

「SMPC?」

「SM!」

 乱子が反応したが、とりあえず無視だ。

「なんだそれは」

「知りたければ…俺を倒してみろ」

「お約束ってわけか…いいだろう」

 僕は、乱子のスカートの中に滑り込む。

(あぁ…今日は白い…白い…ローライズのスキャンティ…薄いヘアーが隠しきれてないじゃないか…あぁ触れたい、ふとももに食い込むスキャンティ…もう…もう…僕は…)

「ガフッ」

 乱子の変な声。

 僕の視界からスキャンティが消えた。

 なにが起きたのだ。

 スカートから転がり出ると乱子が倒れている…顔にブリーフが乗っている。

「何をした」

「さぁね…」

 やはり能力が見えない…念動力でブリーフを飛ばしたのか?

 いや布が当たったくらいで気絶するだろうか…。

「お前にもくれてやろう」

 そう言うと六三郎の背後から何枚ものブリーフが飛び出した。

「行け!フィンファンネル!」

 ゴッ!鈍い音を立てて1枚のブリーフが僕の肩に食い込む。

「痛っ!」

 布の硬さじゃない…鉄板のようだ。

 六三郎の周りをクルクルと守る様にブリーフが宙に浮いている。

 これでは時を止めても無駄だ…。

 僕の能力発動条件は性的興奮に比例する…ブリーフを前にしたら…興奮を維持できない。

 テンションが落ちる…。

 絶体絶命!

 無計画すぎた…。

「終わりだな…ヒーローごっこでSMPCのメンバーにチョッカイをだしたのが運のつき…しばらく入院しな!」

 ブリーフが僕を狙っている…嫌な光景だ…っていうか嫌だ。

 ブリーフに負けるなんて嫌だ。

 六三郎の顔面にスキャンティが張り付いている。

雪夜ゆきや君、今だ!」

「シズシズ!」

 乱子のスキャンティを脱がし、乱子の胸を揉みしだきながらシズシズが叫ぶ。

 視界を奪われた六三郎に鉄拳制裁。

「心配になってね、間に合ったようだ」

 女の胸を両手で揉んでいることを除けば、シズシズ…いい顔だ。


 とりあえず…気絶から回復を待ちたかったが…六三郎…病院内での下着ドロで警察へ…。

 ブリーフに埋もれて倒れている警備員…看護婦がほっとくわけはない。


「いろいろ聞きそびれてしまった…」

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