２０７０年のコンピューターおばあちゃん

サイバーパンクといえば科学技術による身体拡張。では、もし機械による身体拡張が実現した場合、どのような層が一番恩恵を受けるのか？　セレブ？　スポーツ選手？　それともアウトロー？　色々な可能性があるが、実際のところ機械化が一番ありがたいのは高齢者層ではないだろうか。人間誰もが歳を取り身体の不調は増えていく一方。そうなった時に機械で身体機能を補えるというのは大変大きなメリットである。

そんなわけで本作に登場するおばあちゃんも体を機械化されている。頭部以外はほとんどメカに置き換えられており、特に人間の形にこだわる必要もないので胴体はムカデっぽい形状になっている。脚が16対もあってとっても便利！　宗…続きを読む

始めの掴みと言い、ラストと言い、なんだかよくわからくなってむしろすがすがしいような、不思議な小説でした。面白かったです！

　読後の感想は、その一言に尽きます。結局のところ、テクノロジーの進化ってのがもたらした存在によりあらゆる意味で醜悪と言うか、恐ろしい事態になってしまったのですね。
　でもこの問題は日本より先に他の国で起きそうに思えるのは気のせいでしょうか。

まさにタイトル通り、コンピュータになってしまったサイバーなおばあちゃんの日常。ただし、残念ながら似たようなタイトルの曲とは違い、あくまで現実に即した形ですので……。

実際にありそうでなさそうで、でも十分あり得そうな、そんな愉快で怪奇な作品です。

全身凶器のコンピューターおばあちゃんから溢れ出す狂気、素晴らしい。

テクノロジーをもってしてもボケから逃れられないとするならば、ボケ老人とは人の業そのものなのかもしれない。

ここまでして長生きしたくないなと思いながら読みましたが、最後にちょっと救われた気がします。

　機械の体を手に入れたおばあちゃんが色々なことをするのですが、その過激な描写に笑いました。まるで悪魔のような所業が面白かったです。
　個人的に気に入っているのは、おばあちゃんが宗教勧誘の人に地獄を体現するシーンですね。

…って、すごいですね。

↑だけじゃなくて、徹頭徹尾すごい作品でした。
　恐ろしく勉強になりました。
　勝てる気がしねぇ。