第15話

「で、敵がいつ来るとかわかるのか」

「決戦は8月20日ですの。歯車1つにつき1つの資格があればいいですのよ。だから、来るのは1人だけですの」

「8月、20日……って明日かよ!」

「うつわ、しー! ですのよ」


 大声で叫びそうになったうつわの口を、ぬいの小さく華奢な手がそっと抑える。ごとんと時々揺れる公共バスの中。うつわは出るときに全ての食料と飲み物を飲んできたためだいぶ軽くなったリュックサックを膝におく。運転席の後ろ一段下がったそこにぬいと並んで腰を下ろしていた。


 周りを見渡すと乗っていたのは親子連れ3人と老婆が1人だけ。かと言って、内容を聞かれでもしたら困るので顔を寄せ合いこそこそと話していたのだが。


「帰ったら風呂入って飯食って寝るだろ。あんた、どうする?」

「るふれりかのお力でいま、うつわの家には誰もいないらしいですの。ぬいもお風呂に入ってご飯食べて寝たいですの」

「るふれりかすげえな。わかった」



 

 それから家につき、家族が誰もいないことを確認した。書置きのよると、町内の抽選で3泊4日の温泉旅行が当たったとかで昨日から行っているらしい。

 風呂に順番に入り、ぬいが入っている間に作ったインスタントラーメンを2人ですすり。寝ていた時の事だった。

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