椎葉伊作

　美麗な森の風景や古めかしい建物などの情景描写も見事でしたが、〝本〟と化している少年という、怪奇且つ幻想的な設定と、その姿態の耽美的な描写が、文章として一際美しく映えていたと思いま…続きを読む

　作品に唯一つけられているタグである〝孤独〟。それをどれだけ経験しているかで読み方が変わると思うのですが、個人的にはかなり共感性の高い作品でした。 　しかし、その共感すらも無意味に…続きを読む

　狢＝ムジナというのは主にアナグマのことを指すが、時代や地方によってはタヌキ、ハクビシンなどのことも指す。ようするに、格好の似た獣を一括りにして大雑把に呼称していたわけだが、今作に…続きを読む

　まず、一話一話の濃度がとても濃いです。 　それは登場人物の独特なキャラクターであったり、謎めいた話運びであったり、一筋縄ではいかない怪異であったり、澄ました狂気であったり。 　飄…続きを読む

　飄々としていてシニカルな探偵、火鳥と、粗暴だけれど人情を併せ持つ怖がりなヤクザ、水瀬という、正反対の二人が織りなす軽妙なやりとりが読んでいて楽しいです。 　退魔師ものとも、単なる…続きを読む

　語り口が品のあるもので、とても読みやすいです。 　そして、実話怪談だからこそ感じられる生々しさ。日常の中で遭遇する、境界線の向こう側にいる存在の息遣いが聴こえてくるようでした。 …続きを読む

　もし、最悪な”夜市”があったのなら？ 　そんなことを思わせる作品です。登場人物たちは皆、自身のエゴに囚われ、迷い込んだドグマリアの中で狂気に溺れ、もがいていく。それは、親子の愛憎…続きを読む

　ひとつなぎの感情の鎖のような独特の文体がとても魅力的ですね。それだけでなく、中盤の電子レンジの描写や男の最期など、引き込まれる文章が印象的でした。 　物語の規模としては、男の中に…続きを読む

　怪獣というと、まずその存在は善なのか悪なのか、それを真っ先に考えてしまう人は多いかもしれない。日本では古くから怪獣が親しまれ、立派な文化となった。それは他の国にはない独特の感性な…続きを読む

　一話一話が非常に短く、とても読みやすいのですが、だというのにこの凝縮された恐怖。 　多くを語らず、まどろっこしくも無く、洗練された文章は確実にこちらの恐怖心を妖しく撫でてくるもの…続きを読む