人間のエゴと汁っぽいグロテスク。それをぶちまけた狂気のドグマリア。

 もし、最悪な”夜市”があったのなら?
 そんなことを思わせる作品です。登場人物たちは皆、自身のエゴに囚われ、迷い込んだドグマリアの中で狂気に溺れ、もがいていく。それは、親子の愛憎であったり、男女間の恋であったり、理不尽な出来事に見舞われた者の復讐であったり。
 それでも、そんな救いの無いドグマリアの中でもがく人間たちに、どこか希望を見出してしまうような気がしてならない。それはエゴと汁っぽいグロテスクがごちゃ混ぜになった、ドグマリアという狂気の渦の小さな小さな目である。針で突いたようなその極小の希望に、狂気という名の”人間賛歌”を託してしまうような・・・。
 一話一話が一見救いの無いような話に見えますが、そんな風に感じさせる不思議な魅力がある作品です。
 

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