概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人間のエゴと汁っぽいグロテスク。それをぶちまけた狂気のドグマリア。
もし、最悪な”夜市”があったのなら?
そんなことを思わせる作品です。登場人物たちは皆、自身のエゴに囚われ、迷い込んだドグマリアの中で狂気に溺れ、もがいていく。それは、親子の愛憎であったり、男女間の恋であったり、理不尽な出来事に見舞われた者の復讐であったり。
それでも、そんな救いの無いドグマリアの中でもがく人間たちに、どこか希望を見出してしまうような気がしてならない。それはエゴと汁っぽいグロテスクがごちゃ混ぜになった、ドグマリアという狂気の渦の小さな小さな目である。針で突いたようなその極小の希望に、狂気という名の”人間賛歌”を託してしまうような・・・。
一話一話が一見救いの無いような話…続きを読む - ★★★ Excellent!!!にくにくしいもの(それと暗夜行路)
「虚腔」のあらすじの時点で魅力的なのです。
「少女は穴の凹凸をごまかすために様々なものを埋めるが満たされない」に次ぐ一文が「少女は母を殺し〜」。「いやいや、どういう経緯なの?」とか思ってしまったときにはもう──惹き込まれているのです。
気味の悪い精緻な描写も然ることながら、本作最大の魅力は“行先の不透明さ”にあります。
自分は一体どこに連れて行かれようとしているのか、この物語の着地点はどこにあるのか──中途半端な予測力など何の役にも立ってはくれないのです。
オムニバス形式なので、タイトルが違えばどこから読んでも楽しめると云う点も特長の一つ(個人的には上から順当に読むことをお勧めします…続きを読む