正反対の二人が織りなす、軽妙なオカルト遭遇バディもの。

 飄々としていてシニカルな探偵、火鳥と、粗暴だけれど人情を併せ持つ怖がりなヤクザ、水瀬という、正反対の二人が織りなす軽妙なやりとりが読んでいて楽しいです。
 退魔師ものとも、単なる怪異譚とも違う、いわばオカルト遭遇バディものといったところでしょうか。二人とも一般人とまではいかないまでも、特別な力はなく、視えない者が視える程度の人間、というところがそうさせているのですが、そんな二人が軽妙なやりとりを交わしつつ、火鳥が論理的に、水瀬が暴力的に怪異と戦っていくのが魅力的ですね。
 エピソードの中にはやりきれなくなってしまうような話もありますが、どんな時も決してブレない二人の姿勢や、シニカルなユーモアが清涼剤として機能しているので、軽やかに読み進められます。
 今後、Kファイルにどんな事件が綴られていくのか、とても楽しみです。

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