「襖」を含む小説

その男は暗く黒くどこまでも深く染め上げられた外套に身体をすっぽり隠していた。 頭巾から見え隠れする双眸の瞳もやはり黒曜石のように黒く、左腕の鱗籠手は黒鋼で背中の両手剣の刀身、柄…

公僕OL・千歳は30歳。 残業帰りの冬のある日、道端の襖を開けたら、桜の並木に迷いこんだ。 桜の異界を管理する狐・葉は千歳を気に入り、現世に降りてきて千歳のアパートに押しかけてく…

ここは浄土のように美しいところだろう、と夫は微笑んだ。 だから、そこの襖は、開けてはならないよ。

終わった 今の自分が居る場所は襖で閉められてる押し入れの中だ アイツに睡眠薬を知らない間に飲まされて眠ってしまい気づいたらここに居た 別にアイツとは仲が良いというわけではな…

令和に生きる高校二年の女子生徒、沢山帆弥が目を覚ますと――視界に映るは、いつもの見慣れた天井ではなく。朧な意識の中、辺りを見渡すと几帳や簾、襖などが次々と目に留まる。そんな不可解…

　期志丘には暗い過去がある。急な崖で意地悪な子の背中を押して落とし、死亡させたことがあるのだ。その期志丘が自宅近くの高校に国語科教員として着任した。 　国語科には長い手袋の美女、…

私が小学生の頃、実際に遭った話です。 夜、布団で横になっていると押入れの襖が開いていたことに気づきました。 覗いてみると、そこには見知らぬお爺さんが……。 ※ノンフィクションです。

ある日、吉井良太という少年が学習机で寝ていると、謎の声が聞こえて、引き出しが勢いよく開かれ、何故か彼は襖に突き刺さってしまう。引き出しの中からは、誰かが出てきていて、それは、上下…

　美貌の私は、夕方帰宅して入浴を終え、バスタオルを巻いたまま夕食を取り、素っ裸で寝入った。悪夢に目覚めキッチンの冷蔵庫に近づいたら雷鳴と共に停電。トラウマから停電が怖い。仕方なく…

借家の内見に来たはずの、祖母と孫娘の二人組。 和室の襖を見物するだけで帰って行った。

　兄が、最近魂を失ったみたいだ。 　私の胸中は、口数は少なくとも熱い男だった兄の、げっそりと豹変した姿への不安が大多数を占めていた。よりによって受験前に……。 「ねえ、彩華の方は…

地方から東京の大学へ進学するＦさんは、希望する賃貸物件の内見をすることにしますが……

築35年、平屋、全室ほぼ和室、襖で8畳ずつ区切られているが襖を取ると32畳の大広間になる横に長い家。そんな家に住んでいた私の不思議で怖い体験。 実話だと思いますか？作り話だと思い…

　しゃらり。 　その鈴は、時を飛ぶ絡繰りの音。 　しゃらり。 　その鈴は、運命の恋を手繰る翼。 　男の名は岸岡時人（きしおかときひと）。２１歳。 　時人はアルバイト仲間である寺…

伯父さんが死んだ。懐かしき夏休みの思い出と、襖に纏わる奇妙を残して。 静岡県掛川市主催　怪異物創作コンテスト 掛川百鬼紀行　小説部門　髙木賞受賞作品

性癖：お題をもらうこと 性癖：突然の暴力 性癖：仲良し家族 性癖：ふすま 性癖：狂っているが、完全にそれを隠し切って社会に適合している人間 性癖：うなじ 第五回性癖小説選手権に…

友人たちと安宿に泊まった深夜。 妙な音で俺は目が覚めた。

古いイ草と防虫剤の匂いに混じってすべてを飲み込む赤錆と海水、腐った汚泥の放つ悪臭。 狭い和室に閉じ込められた『ぼく』と『おねえちゃん』。 襖の外で響きわたるEDMとポエトリーリー…

白酒小学校6年の『襖間 風花』。なんてことない日常の中には、気がつかないだけで非日常が存在した。不思議な本とクラスメイト、ここではない場所が引き起こす、都市伝説系現代ホラー。 ―…